第72話 悲鳴との遭遇
鈴木「(笹島さんと別れると、傘お化けを連れ戻すために、教室まで戻って来たのだが……、机の横に立てかけておいたはずの傘お化けが見当たらない。………………まさか……俺をおいかけて先に帰った? そんなペットみない行動する訳ないか……。仕方ない。少し探してやるか。しばらく校内を歩いたところで、何もない壁に向かって、何故か突き進もうとしている傘お化けを発見! うん。どう見ても妙な動きをしている。関わりたくない。多分正しい判断だろうなぁ。)」
……ピョンピョン。
……ピョンピョン。
鈴木「おぉい、そこの傘お化けさん!」
……ピョンピョン。
……ピョンピョン。
……ピョンピョン。
鈴木「(依然として壁に向かって飛び続けている。よし。このまま無視して帰ろう。」
………………バカっじゃない! あんたの傘お化けでしょ! 傘お化けが泣いちゃうわよっ!
鈴木「錯覚なのだが――明彩に叱られた気がした。しかし、呼びかけても、反応はなし。しゃぁねぇなぁ! おぁい、帰るぞ!(傘お化けを強引に捕まえたとたん――不思議なことに、俺の体はそのまま壁を突き抜け、別次元へと入ってしまった。視界には、廃校のような荒れ果てた景色が広がっている。――マジかっ!!! これって妖魔の中だ。久しぶりだな……。ってことは、妖怪さんがいて……。あぁ考えただけで、背筋に寒気が走る。どこにいるんだ!)」
――――
――――――――――シューー!
鈴木「(何かが斬れる音がしたかと思うと、遠くの方でコンクリートが落下する音がした。それに反応したのは、傘お化けだった。慌ててその音の方にピョンピョン走って行く。俺も後を追いかけたのだが、そこで目にしたものは、目の色を変えて悲鳴のような声を上げながら、無数の化け物と戦っている、涼葉さんの姿だった――。体のいたるところから、血が吹き出し、顔からも血が流れている。おそらく――、涼葉さんは、最大限に妖魔を使うことで、自分の能力以上を発揮しているのだろう。しかし、化け物は次々と飛びかかる。涼葉さんは、刀のような鉛筆で次から次へと斬っていくのだが、体力も妖魔も限界。肩で息をついて、刀を振る力も失いつつある。」
鈴木「――どうする?! どうする?! いや……。どうするもこうもないだろ。俺は無力で……。って――えぇぇぇえええいいい! 考えている暇があったら突進あるのみじゃ。魂を奮い立たせて、俺は走り出していた!)」
――
――――――
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――――――――――――――――――――おぉぉぉおおおおお!!!!!!
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