第69話 ペットなクール美人
鈴木「(俺は書庫から出ると、カウンターに戻った。)」
笹島「鈴木君、さっきは驚かせちゃったね。私の胸もびっくりしちゃったのかも。まだドキドキしてる。あはは。」
鈴木「(自然体な笑顔でさらりと自分の気持ちを打ち明けてくるところが、笹島さんのコミュ力の高さを象徴している。俺には到底無理だ。この場でじっと座っているだけで、笹島さんのおっぱいの感触を思い出してしまう。そして、顔が赤面してくる。耐えきれなくなって……)……ちょっと、図書室の中、見回ってきますっ。」
笹島「うん、お願いしますね。そうだ。一番奥の席、そこで本を読んでいる可愛い女の子がいるのだけどね、その子は多分1人が好きな子だから、もし何かしてても注意しないであげて。あの子は、あそこが学校での唯一の安全地帯なのだと思う。図書室ってね、いろいろな人の避難する場所でもあって、それを受け入れてあげるのもひとつの役割なの。」
鈴木「(俺は笹島さんが言おうとしている言葉の意味を、なんとなく理解しつつあった。静かで、どんな人もここでは干渉しあわない。その居心地の良さを利用者はまさに肌で感じている。それはさておき……男性としはて、やはり可愛い女の子と言われると気になるわけで……。一目見てみたいと思った。さっそくカウンターを出ると、いくつかの棚を通り過ぎ、真っ先に一番奥の席へ向かう。)」
………………
………………………………
鈴木「(そろそろ、お目当の場所だ。可愛い子……、笹島さんや明彩の奴より可愛いのだろうか?)」
………………
………………………………
……………………………………………………
………………
………………………………
……………………………………………………
………………
………………………………
……………………………………………………
――丁寧にカッターで鉛筆を削っている、美人がひとり――――――
鈴木「(クールさゆえに、あたりの気温さえも冷たく感じてしまう。無表情でゆっくりと鉛筆を削っては、刃先を確かめている。その美人とは……。そう――校内1のクール美人・涼葉さんだった。先ほどまでのドキドキは消えて、ただその美しさから目が離せない。俺は、涼葉さんを見ると胸がぎゅーっと締め付けられる。そして苦しくなる。)」
――
――――
――――――スッパン!!!
鈴木「(刀のような鉛筆が目の前を通過して、本棚に突き刺さった。)」
涼葉「妖怪じゃなかった。」
鈴木「は……?」
涼葉「鈴木に見られると、手元が狂う。本当は外さない。」
鈴木「……あのな! ちょっとは女の子アピールしながら、にこにこと謝るとかしろ。美人がもったいないぞ。」
涼葉「じゃやってみる。」
鈴木「(そう言うと涼葉さんは、スカートを少しあげて、頬を引きつりながら笑った。)バカっ! 図書室でパンチラとかダメ!」
涼葉「鈴木が、女の子らしく、って言った。」
鈴木「パンツ見せれば、女の子らしいと思ってんのか?」
涼葉「だって、一番可愛いところ。」
鈴木「っあぁ……。(反論しないが……。どうしたらもっと涼葉さんと分かり合えるのだろうか……。一生悩んでも無理な気がしてきた。……思いつめていると涼葉さんが刀のような鉛筆を振り回しながら、何かを言いたそうにしていた。なんだろう。ちょっといつもと、様子が違う。)」
涼葉「お願いしたい。」
鈴木「(人にお願い事をする時は、刃物はしまえ。ん……? 心臓のあたりに刃先を突きつけられた。こいつは、ヤクザか?! )」
涼葉「あの。」
鈴木「ん?(どうせとんでもないお願いだろうな。妖怪退治とか、妖怪探しとか。俺が少しでも役に立てるといいけど……。)」
――
――――――
――――――――――――
涼葉「――私を、ペットにして。」
鈴木「ぁ……はぃ!?(………………なでなでとか、可愛がって欲しいってことですか?)」
涼葉「パンツ姿で膝枕、してあげたい――。でも、お触りしたら斬る。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます