第68話 おっぱいの柔らかさ

笹島「図書室はね、いろいろ人がくるの。例えば、さっきの人みたいに小説を書いてる人、宿題をする人、調べ物をする人、ちょっと休憩に立ち寄る人、デートで来る人。本当に利用してくれる人はさまざまなんだ。そんな人たちに、本を提供する。それが図書委員の仕事だと思うの。」


鈴木「(笹島さんが笑うと、夕日が窓から差し込み、その笑顔に見とれてしまうほどだった。ここまで図書委員が似合う女の子は、いないだろうな。)」


笹島「今日はカウンター業務だけでも、覚えてくれたら嬉しいな。」


明彩「はーい!」


鈴木「(カウンター業務のレクチャーを一通り受けると、カウンターに俺と笹島さんが座ることになった。)」


笹島「田中さんは、返却本を棚に戻す作業をお願いするね。主に出入り口の近くを重点的にお願いします。」


明彩「まっかせなさぁーい! よーし、全部終わらせるわよっ!」


鈴木「(あいつが出入り口で作業を始めたとたんに、利用者がどどどっと増えた。そうかっ! 笹島さんはこれを狙っていたのだ。だからあえて出入り口付近で――と、指示を出したのだ。すごい!)」


笹島「鈴木君、利用者さんから書庫の請求が入ったよ。案内するから一緒について来て。」


鈴木「あ、はい!(事務所の隣には、狭いスペースに本棚がぎっしりと並んでいた。本棚と本棚のスペースは人がすれ違うのがやっとの広さだ。)」


笹島「ここは、利用の少ない本を保管しているところで、利用者さんから請求があると、図書委員が本を探して、利用者さんに提供するんだよ。覚えておいてね。」


鈴木「(何万冊はあろう中から、請求番号を頼りに一冊の本を探す。頭がくらくらしてくる作業だな……。)」


笹島「あのね、――鈴木君。」


鈴木「(ぴしゃりとした笹島さんの声に、俺は動きを止めた。)」


笹島「こんな時にあれなんだけどね……。」


鈴木「(薄暗い書庫でも、爽やかな笹島さんの笑顔は健在だ。)」


笹島「この図書室は、もう少しで閉鎖になるかもしれないの。だからなんとか利用者を増やして……、無理を承知で鈴木君に来てもらったの。」


鈴木「図書室が閉鎖に!? ……俺で良かったら一緒にがんばるよ!」


笹島「ありがとう。――でも、ひとつ残念なんだ。鈴木君は、田中さんのことが好きでしょ――――?! 分かるよ。さっきカクヨム作家さんの話題になった時、田中さんが先輩に興味持ってたよね。それを見て、鈴木君は不安そうな顔してた。」


鈴木「……っ……ってそんな。全然………………、あんな荒っぽくて落ち着きのないやつなんか……、気になるわけないから。」


笹島「……本当!? それなら良かったっ。」


鈴木「(笹島さんはそう言いながら、俺を足場台に座らせた。)」


――ん?


笹島「いいから……。」


鈴木「(笹島さんは、ゆっくり俺の顔に向かって、胸を近づけてくる――――――

。――制服の上からだが、両胸を俺の顔に、ぎゅっと押し付けた。おっぱいの柔らかさが顔全体に伝わってくる。――ぽよんっと弾力があり柔らかい。逃げようにも、後ろは本棚で……。」


――――

――――――――

――――――――――――


笹島「ご褒美だよ。」


――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


鈴木「(バクバクと打つ心臓の音だけが、書庫に響く。骨の髄まで痺れたような感覚で、動けない……。)」


笹島「あっ! 本みーつけたっ。先に戻ってるね。あはは。」


鈴木「(頬を真っ赤に染めた笹島さんが、小走りで来た通路を戻っていく……。俺は意識がぶっとんでいて、思考が停止していた。――昼休憩におっぱいを見せられ、今は顔におっぱいを押し付けられた……。――心臓が爆発しそうで、どうにかなってしまいそうだった。」



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