第67話 図書委員の仕事

鈴木「(やってきました、待ちに待った放課後が! プリントを整理し、机の中を片付けていると、隣席の美少女こと・明彩が話しかけてきた。)」


明彩「じゃ先に、図書室に行ってるからね! あんたも早くきなさいよっ!」


鈴木「(……想定外だな。あいつがここまでノリノリになるとは。よほど自分の好きなカクヨム棚を作れることが魅力的に思えたんだろうな。そんなことを考えながら、俺はゆっくりと図書室へと向かった。そうして図書室の扉を静かに開けて、カウンターに視線を送ったその瞬間、)」


――――やばっ。


鈴木「(そう思った。物音ひとつしない図書室。そこでカウンターに座っている笹島と明彩が、なんたることか――、見つめあっていたのだ。窓から差し込む眩しい光と、突き抜けるほど青い空が重なり、2人はあまりに綺麗だ――。そうしてある予感がした。あの2人は、)」


――恋におちている。


鈴木「(間違いないだろう。おっとりとしたあの瞳は、お互いに惹かれあっている。つまり、恋する目だ。俺は早くも図書委員をやめたくなっているんだが……。急いで扉を閉めて、退散しようとしたところで、明彩が出てきた。)」


明彩「おそいっ! あんたを待ってたんだから! それになによ? どこに行こうとしてんのよ!?」


鈴木「いや、だって……。2人の邪魔をしたら悪いだろ?」


明彩「っは? そうやって図書委員をサボろうとしてるんでしょ! そうはさせないわよ。人を誘っておいて自分はサボろうなんて、ありえない!」


鈴木「(いや、いきなり百合の方がありえないだろ……。もしかして、俺の勘違いか? それなら、いいのだけど……。明彩に引っ張られるまま、図書室の事務所へと案内された。)」


笹島「鈴木君って本当にすごいね。だって田中明彩さんを図書委員として連れてきてくれるなんて、百人力だよね。だって美人で有名な田中さんがカウンターに座ってるだけで、利用者が増えるでしょ。そしたら予算も増えて、自由に買える本が増える。それってすごいことなんだよ。これは、鈴木君へのご褒美も真剣に考えておかなくちゃいけないね。あはは。」


鈴木「(と、笑う笹島さんのおっぱいが少し揺れたように思う。いかん、ついおっぱいに目がいってしまう。昼間に生おっぱいを見たせいだろうな……。)」


笹島「それじゃまずは、今は利用者も少ないから、図書室を案内しておくね。」


鈴木「(そういうと、笹島さんは本の分類や、大声で喋らないこと。走らないこと。などいろいろと教えてくれた。それから、パソコン席までくると、1人の男性に視線を向けた。)」


笹島「彼はね、私たちよりひとつ先輩。いつもあそこで、カクヨムに投稿する作品を書いてるの。それでね、ついこの前デビューしたんだよ。すごいよね。」


明彩「へぇ〜、そうなんだ。」


鈴木「(――――俺はその時、明彩の気持ちの変化を考えてしまった。――カクヨムが好きな明彩は、あの男性について、興味を持ったのだろうか……。そしてあの男性を、少しでも格好いいなぁと思ったのだろうか……。何故俺は、そんなことを考えてしまっているのだろうか……。)」






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