第64話 おっぱいソムリエ

笹島「鈴木君が『妹系』のライトノベルを買った時にね、私のこと理解してくれる人は、鈴木君しかいないって思ったの。でも、迷惑だったかな? あっ…………その別におっぱいを触って欲しいとか、そういう無理なお願いはしてないょぉ。一度でいいから男の人に――可愛いね。って言ってもらいたかったんだ。」


鈴木「(笹島さんの言葉は、こんな状況でもさり気ない。青空の下で木の葉を揺らす風のようだ。――ここで逃げたら、男として最低だな。それこそ笹島さんを傷つけてしまう。なんたる境遇だろう。)えぇっと……振り向くのは、俺も恥ずかしいっていうか、だからスマホの自撮りモードでミラー越しに、見てもいいかな?」


笹島「それっホラー映画でよくあるシーンみたいことぉ? 怖くて振り向けないからスマホのカメラで確認みたいな?! 私のおっぱい、お化けじゃないよ……。あはは。今のはさすがに、ショックかなぁ……。」


鈴木「(――――――――あああああああああ!!! 思いっきり傷つけてしまった。)えぇっと、その……(その時、1冊の本が目に入った。――――『可愛いフルーツ・ソムリエ!!!』。フルーツ・ソムリエ? そうかっ! 笹島さんのおっぱいをフルーツだと思えばいいのだ。そうすれば全然エロくない! それなら、堂々と振り返って、笹島さんの期待にこたえることが出来る! よし! 俺は勇気を出して振り返った。)」


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鈴木「(――笹島さんを包むように、淡くて甘いシャボン玉のようなふわっとした光が見える。綺麗だ――)」


笹島「……私のおっぱい、どう? 素直な感想を聞かせて欲しいの。」


鈴木「(――――――笹島さんのおっぱいが、徐々にフルーツに見えてきた。よし、これならいける――。)えぇっと、確かにまるまるとしたアップルではない。なので谷間をつくるメロンでもない。だからと言って、スポブラで対応できるチェリーも違う。そう――笹島さんのおっぱいは、見た目が、桃色で標準より少し小さな、ピーチ――――――。多分だけど、柔らかい弾力のある――――マシュマロのような触り心地。――――――とっても可愛いよ!(って! バカなの。セクハラだ?! いや、男として精一杯努力をした結果だ。これでもし嫌われるようなことがあっても、逃げ出した時のことを考えるよりましだ。)」


笹島「………………っ……。」


鈴木「(なに? 笹島さんが涙ぐんでいる。どうかしたのだろうか? やっぱり傷つけてしまった? ソムリエ気取りで、傲慢だったのかもしれない。おっぱいなんてちゃんと触ったこともない俺が………………。笹島さんは、シャツのボタンを閉めて、それから、ゆっくりと視線を俺に向けた。)」


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笹島「私のおっぱいは、ピーチ――かぁ。嬉しいなっ。」


鈴木「(笹島さんが、すごく幸せそうに微笑んでいる。そして瑞々しいピーチのような甘酸っぱい香りが漂う。)」


笹島「もうひとつ、お願いなんだけど……。鈴木君、図書委員にならない? 最近、急に全員がやめちゃって……。なんでだろう。みんなにおっぱい見て欲しいって、お願いしたのがいけなかったのかな……。あはは。」


鈴木「(俺はその時――、凶器の種類に、甘い刃物があることを初めて知った。これは、おっとり可愛い皮を被った化け物……つまり、天然ビッチ少女なのかもしれない。)」

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