第51話 妹と付き合うのは大切なお仕事です!
鈴木「ついに! 穂香の誕生日がやってきてしまった。昨夜は一睡も出来なかった。妹と付き合う――! 考えれば考えるほど、恐ろしい。妹を持つ男性はみんなこんな経験をしているのか? もちろん妹が嫌いなわけではないのだが、好きなら付き合うのか? 俺は、絶対に嫌だ! とにかく妹の攻略方法を勉強しなくては……。そうは言っても、妹の対処方なんて昨夜ネットで調べても、エロ動画しか出てこなかった。くっそおおお。……っあ! 待てよ・・・妹系ならライトノベルじゃねえか! 俺は服を着替えると、急いで本屋に向かった。」
鈴木「駅前の本屋に到着すると、あるわあるわ『妹』とついたタイトルがずらりと! まずは、弥生志ロウ先生の『妹と付き合うのは大切なお仕事です。』うぅっっ! いきなり鼻血が・・・。しかし、確かに仕事と思えば乗り越えられるかもしれない。思考の幅を広げてもらえる一冊だな。やはり本屋に来て良かった。まじで勉強になる。次は、」
鈴木「塀流通ル先生の『妹ですが、お兄ちゃんと結婚しますっ!』クラクラしてきた。なんとしても、――これだけは避けたい。これも必読書だな。こうならないためにも、読まなければいけない。絶対に俺の未来がこんなタイトルであってはならないのだ! 次だ次!」
鈴木「田口はじメ先生の『この本屋に1人、妹がいる!』……ホラーだ。棚から穂香が出てきたら、貞子より怖いな。あぁぁぁあ帰りたくなってきた。しかし、まだまだー!」
鈴木「伏見つかサ先生の『妹はエロマンガ先生』もしかして、俺の妹もなにかの職業を持っていたりして……。もしこのタイトルみたいに、エロいイラストを描いてたらどうする。ちょっと見てみたいな。興味……あるかも。このライトノベルも面白そう。よし、次!」
鈴木「ミや先生の『妹がブラコンであることを兄だけは知っていた』神作降臨。これこそ俺の体験とかぶる。ここまでくると、読み物でなくて、過去問題集だ。赤本として大切に扱おう。」
鈴木「とりあえず、妹系はかたっぱしから全部買って、読ませてもらうぞ。大人買いじゃー! あのぉこれ全部ください!!!」
笹島「はいっ。いらっしゃいませ。」
鈴木「店員と目が合い、頭の中が真っ白になった…………。」
笹島「鈴木君、おはよう。」
鈴木「笑顔がキラキラ光る美少女が1人。クラスメイトで図書委員のおっとり系女子・笹島紡喜(ささじまつむぎ)さんが立っていたのだ。お、お、おはよう。」
笹島「鈴木君って本を読むんだね? なんか見直しちゃった。今度面白い本をあったら教えて欲しいなっ。いろいろと本について、話せたら嬉しいな。」
鈴木「あ。あっ。っ……。……っ。あっ。(そんな笑顔で言われましても……。レジの上に置いているタイトルでは、このご縁も水の泡。というより、明日から顔も見てもらえないだろう。)」
笹島「それでは、商品を確認させて頂きますっ。」
鈴木「この店の店員は書籍のタイトルをひとつひとつ丁寧に読み上げて、確認するんだった。――死んだ。きっと紡喜さんには、――妹が大好きなお兄ちゃんが我慢出来ずに、妹系のライトノベルを買っているようにしか見えん。あああ! この場から消え去りたい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます