第42話 セックス、しよ
涼葉「鈴木は、優しい……。」
鈴木「(と言いながら、俺の肩に首をこくん、と添える涼葉さん。ゆっくりと目を閉じたかと思うと、寝息が聞こえてきた。疲れが溜まっていたのだろう。すやすや眠る横顔に思わず胸がキュンとした。空は晴れ渡り、穏やかに風は流る。隣には、不器用な美少女。俺も器用な方ではないが、ここまで不器用だと、なんだかほうっておけない。俺の中で、彼女に対して何かが変わりつつあるのは確かだ。)」
さわさわ……
………………………………
ざわざわ……
………………………………
鈴木「(風が木の葉を揺らす音に混ざり、聞き覚えのある透き通るような萌え声が聞こえてきた。)」
明彩「鈴木君どこ行っちゃったのかな〜。」
鈴木「(やばい。明彩さんが、俺を探してこちらにいらっしゃる。こんなところを見られたら地獄絵になるぞ。明彩さんが発狂して世界が破滅ってことは……、ありえないか。いや、それくらいは想定しておいた方がいい。これまでの経緯をさっするに、妖魔使いとやらは、全く恐ろしいものだ。涼葉さんの体を揺らす。が、全く起きない。それどころか、寝言でむにゃむにゃと、何かを言っている……。ん? なんだって?)」
涼葉「セックス、しよ――。」
鈴木「アホかっ!」
涼葉「じゃ、チュウする。」
鈴木「(寝言のくせに、行動が伴っている。真面目な性格だと寝言でも体が反応し、こういう風に動いてしまうのか? 唇がゆっくりと俺の唇に、迷いなく、真っ直ぐに――向かってくる。)」
鈴木「っ……。」
唇が、重なる――――。
――――うごめくような舌が、口の中に入って――
鈴木「(ドンッ、全身が痺れるような感覚に襲われた。意識がクラクラする。続いて、体が燃えるように熱い。じわじわっと腹の底から力がみなぎってくる。これは一体……?! 思考を遮るように、木の陰から顔を出す明彩さんと目が合った。明彩さんは、頬をぷんぷんに膨らませて、思いっきり拗ねている。そのあと、滝のような涙がドバドバー、っと流れでた。)」
鈴木「ごめん。これは……事故なわけで。」
涼葉「ん? どうした?」
鈴木「(何もしらない涼葉さんが、ようやく目を覚まし、明彩さんの元へと駆け寄った。そうして明彩さんを抱き寄せて……なでなでしている。素晴らしい姉妹愛? いや、双子愛? どちらでもないのか。全くややこしい。)」
涼葉「作戦は成功したと思う。」
鈴木「え? (涼葉さんがそう言うと、2人はこちらを向いて、くすくすと、笑い始めた。)」
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