第39話 ツンデレ美少女の誤算

明彩「(弱い。弱い。弱すぎる。鈴木君弱すぎるのだよ。出来るだけ妖魔パワーをさげて、手加減してあげてるのに。だってこれは、鈴木君のための覚醒作戦なんだから! なのに、直撃って……雑魚キャラじゃん。また魚って漢字が入ってるよ。全然笑えないし。はっきり言って私、裸だよ。体はって演出してあげてんのに。裸の彼女のためなら、ブッチン切れて、覚醒! みたいな展開希望なんだけどなぁ。」


――ゴホッ! ブシュー!


明彩「(やばっ。鈴木君にまたもや直撃。今のはダメージでかそう。てか私の妖魔が落ちてきて、クジラちゃんをうまく操れなくなってきてる……。これは実に、困った。あぁぁ、私としたことが……。すでに、体の半分がクジラの中に取り込まれている。まずい――。」


鈴木「明彩さん……!」


明彩「鈴木君ごめんなさい。無理かも……。意識飛びそう。)」


……

………………


……

………………


………………ガラガラ


明彩「(扉がゆっくりと開いて、誰かが入ってくる。誰? 私が妖魔を使ってるから、ここには普通の人間は入れないはずなんだけど。)」


ガラガラ――!


明彩「(……飛田依璃(ひだえり)さん。なんでここに? ……陸上部で走り幅跳びのエースの子だよね?!」」


飛田「騒がしいと思ってきてみたら、これはこれは『あやかし』ですか。最近なにやら物騒だと思っていたらこんなものがウロウロしていたのですわね。で、あなたは田中明彩(あかり)さんよね。まだ意識はあるみたいだけど、危険な状態ですわ。そのままだと、クジラに飲み込まれて死ぬ。でも、安心して。助けてあげるから」


明彩「(飛田さんに向かって、私の意識とはもう関係なく、クジラが潮を噴出した。)」


――ゴホッ! ブシュー!


明彩「(次の瞬間。何が起こったのか分からなかった。何も見えなかった。まるで瞬間移動したかのように、飛田さんは潮を交わすと、鈴木君の顔をまたぐように立っていた。うそ……瞬間移動って? そんな妖魔使い聞いたことない。」


鈴木「……なんか美少女が1人、俺の顔をまたいでやがる。パンツが見えて、ちょっとばかし、テンションは上がるんだが、体に力入んねえ……。声も出ねえわ。」


飛田「遊んでる暇はないみたいですわ。とっととケリをつけて見せてあげますわ。」


明彩「(飛田さんは、そう言うと側面の壁に飛びつき、それから、全力でこちらに向かって飛んできた。――そうか! あの妖魔の力は、跳躍力にあるものだ。……飛田さんの姿が瞬時に閃光すると、バッタの姿が一瞬見て取れた。ようやく分かった。飛田さんは、バッタの力を操っているに違いない。)」

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