第30話 クール美人の鉛筆
涼葉「私達のこと、どう思ってる?」
鈴木「どうって……、綺麗な双子、(そこまで口を開いた瞬間、刀のように研ぎ澄まされた鉛筆を、額に当てられた。それ文字書きにくいだろ。)」
涼葉「不正解。」
明彩「ですです。」
鈴木「……じゃ義理の姉妹?」
涼葉「鈴木は、何も覚えてない。」
明彩「バカだからね!」
鈴木「(いや、なんだよそれ……)」
涼葉「仕方ない。勉強も出来なさそうだから、分かりやすく説明してあげる。私と明彩は、おっぱいの大きさも違うし、性感帯も違う。もっと言うと、ィクタイミングも違う。って何を言わせるの!」
鈴木「勝手に言っておいて、刀のような鉛筆を額に押し付けるのやめろ。」
涼葉「それ以上口を開いたら、脳まで突き刺すわ。」
明彩「ですです。」
鈴木「(額から血が少し流れでた。涼葉さんとは、今後一切関わらないでおこうと誓った。)」
涼葉「ここだけの話だけど、明彩とは週に3回はエッチなことしてる。」
鈴木「(慌てて明彩が涼葉の口を閉じた。百合姉妹だったか。)てか、何しにきた! そんなこと暴露しに来たのか?」
涼葉「違う。本題はこれから。心臓病とかあったら先に挙手して。驚いて死なれると困る。」
明彩「ですです。」
鈴木「今にも死にそうなおじいちゃんか!」
涼葉「私の構成要素の中で3%しかない、優しさを提供してあげているのよ。そうそう、耳の穴も掃除して、よく聞いて欲しいの。」
明彩「お掃除、お掃除〜」
鈴木「(突然、明彩さんが俺の耳に綿棒を入れてきた。あぁ〜なんか気持ちいぃ)って、耳の遠いおじいちゃんか! 聞こえてるわ!」
涼葉「良かった。準備は整ったようね。それじゃ単刀直入に言う。」
鈴木「(言いながら刀のような鉛筆を振りかざすのやめろ。)」
涼葉「私と明彩は、……裏と表。初めは――1人だったの。正確には、明彩の中で私は生まれた。言っている意味分かる?」
鈴木「(双子でもなければ、姉妹でもない。初めは1人だった。)……多重人格、それがリアルに分離したってことか?!(信じられんが……。)」
涼葉「正解。理解してもらえて嬉しい。」
鈴木「(窓の外から蝶々が入ってくるのが見えた。すぐさま涼葉が振り下ろした刀のような鉛筆が蝶々を真っ二つにしてしまった。あれ、まじで人も殺せるやつだ。涼葉さんの隣で俺以上に驚いた顔の明彩さんは可愛いんだけどな……。ホント、俺の中にも、もし涼葉さんみたいな冷めた性格の奴がもうひとりいたとしたら追い出すかもな……。)」
涼葉「誰にも言わないでね。」
明彩「ですです。」
鈴木「(机の上にひらひらと舞い落ちた2枚の羽だけが、妙にリアルに見えた。)」
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