第26話 深まる謎
鈴木「――汗がどっと吹き出て、息をのんだ。涼葉さんが、クローゼットの前に立っている。そして……手がクローゼットに伸びてくる……。」
ガラ、ガラガラ。
鈴木「時間がスローモーションのように流れ――、クローゼットの扉が開いていく。多分、殺される……。覚悟は決めました。お父さんお母さん今まで育ててくれてありがとう。」
涼葉「キャーーー!!!」
鈴木「ごめんなさい! 同級生の鈴木です。鈴木啓太です。えっとその明彩さんのお見舞いに来てまして。明彩さんは、ジュースを買いに行っててですね。それで、あれです。(あれってなんだ?!) えっとその、留守番をしてて、そしたら涼葉さんが……。」
……
…………………
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鈴木「え?」
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鈴木「涼葉さん……?! ……包丁を持った涼葉さんの姿がありません。確かに目の前にいましたよね?! 今はどこにも姿が見当たりません。パニックです。必死に冷静さを取り戻そうと、思考する――。だが、到底理解できそうにない。目の前には、確かに涼葉さんはいた。でも、消えた……。ってなんだ?!」
鈴木「しばらく考え込み、部屋中をうろうろした。涼葉さんが脱いだパンツを触ったり……は、してません。いや、まぁ触りましたけど! 男子だったら絶対触るでしょ! それはさておき……。俺は、ひとつの恐怖に襲われていた。その予感を確かめるべく、机の中の引き出しを開ける。」
ガチャ。
鈴木「恐怖から日記を持つ手が震えている。昨日明彩さんが書いたページを開く。そこに全ての答えがある――。そう思えてならない。なぜなら、このノートは書いたことが、現実になるノートに違いないのだから……。」
【日記】
◯月◯日
「明日は、鈴木君がお見舞いにきてくれますように。でも、もしこの日記を鈴木君が読むようなことがあったら……。鈴木君は――。」
鈴木「俺は、続きのページを、ゆっくりと、開いた――――――」
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