第3話

 森の泉に、三日目の太陽が昇りました。少年たちはいっせいに飛び立ち、少女たちもいっせいに飛び立ちました。二人は空高く飛び上がり、変化しました。彼らの子孫を産み出すべき体へ。

 やがて、女たちは地上に降りていき、男たちは空に残りました。男たちは上空で、女たちがたくさんの子孫を産み落とすのを、じっと見守っていたのです。

 ――あの子供たちは、一年ののち、目覚めるに違いない。

 (ふと、彼らはそう思いました)かつて、自分たちがそうであったように。

 ――そして、その子もまた、我々と同じ道を歩むのだろう。

 女たちが小さなカプセルを産み落とすと、男たちは地上に降りました。両親は、子供たちのカプセルにそっとキスをしました。(一個一個に、たくさんの願いを込めて)それから、二人は飛び立ちました。もう一度、生まれて初めて飛んだ時のように、力強く羽ばたきました。高く・・・高く・・・ただ、ただ、空へ向かって飛び続けました。

 彼らは、夕陽が沈み始めるのを見ました。

 ――美しい景色だ・・・。

 彼らは疲れを覚えましたが、もう地上へ降りたいとは思いませんでした。このままずっと飛んでいたいような気がしました。


 やがて、彼らは泉の中へ落下していきました。


 泉の水は、森の中をずっと流れていきました。流れはいつか川となり、海へ注ぎました。そして海水は、日に照らされて水蒸気となり、水蒸気は雲となって雨を降らせました。

 森の奥の泉にも、雨が降り続き、小さなカプセルの上にも降り注ぎました。雨はカプセルの中にしみこんで、両親の願いを子供たちに伝えました。そして、子供たちは夢を見ました。

 両親の願いの込められた、長い長い夢を・・・。


 森のずっとずっと奥深くに、小さな泉のあることを知るものはありません。そして、その泉のほとりで、三日の間だけ生き、死んでいった生き物のいたことを誰も知りません。彼らがそこで、何を望み、何を信じ、彼らの子供たちにどんな願いを託したのか・・・誰にもわからないのです。


 それは、泉の水だけが知っているのでした。

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三日間 ある☆ふぁるど @ryuetto23

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