第2話

 森の泉に、再び朝が訪れました。

 彼らは、空に向かっていっせいに飛び立ちました。

 空で、少年たちは少女と出会い、少女たちは少年と出会いました。

 少女は、少年に尋ねます。

「あなたは誰?」

 少年は少しとまどいながら答えました。

「わからない」

 少年は、少女に尋ねます。

「君は誰だい?」

 少女は、少し困ったように答えました。

「わからないわ」


 全体は、二人ずつの組に分かれていき、皆、それぞれ二人だけで貴重な時を過ごしました。

 しかし、彼らは充分に満足していました。

 彼らは、空で幸福を得たのです。

 少年たちは空を駆け、少女たちは嬉しそうに笑いながら、その後を追いました。

 少女たちは空を飛び回り、少年たちは笑ってその後を追いました。

 彼らの幸福は、森の上を吹く風にのって、世界中に運ばれて行きました。


 夕日が沈み始めるのを彼らは見ました。ゆっくりと、彼らは地上に降りていきます。

 少年のすぐそばに少女はいました。

 少女のすぐそばに少年はいました。

 夜が訪れようとしていました。

 ――与えられた時間は、もうほんのわずかでしかない。

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