第1話-2

わたしの名前は須賀原すがはら

姉と2人で都会から駅2本分の距離に住んでいる


わたしは学生で、姉は夜勤だ

だけど、朝食は一緒に食べる約束をしているので、その時間までには帰ってくる


姉の仕事を以前聞いた時


「身体を使った商売よ」


とか言っていたので最初、売春でもしてるんじゃない!?と思ってたけど


家に帰るたんびに傷を作ってたから、この世界には珍しい化けモンスター退治の女性狩人ハンターだろうと思った


ちなみにわたしは学生ではあるが、聖神教会本部から直接、能力スキルによる推薦をされて学費は免除という好待遇を受けたエリート学生なのだ!


子供の頃から治癒能力に没頭してたこともあり、高い評価を得たのがきっかけでもある


やってて良かった能力向上


学業は中の下なので必死になって勉学に励んでるのも事実…


まぁそんなことより!


お姉ちゃんが帰ってくる前に、変なフードかぶった男がマンションの通路にへたり込んでたから声掛けたの!


一昨日から、ニュースで物騒なことが起きててお姉ちゃんから「気をつけなさいよ、あんたドジだから」とか言われて警戒はしてたけど


フードの男性は辛そうに唸ってたから治癒能力を使って癒してあげたの!


そしたら男性は

「お、凄いね!心が晴れ渡った様にスッキリした!」

とかなんとか


感謝とかなかったけど褒められて悪い気分じゃなかった!


しかも、いつもより治癒能力が倍以上出ちゃったから身体全体を治癒したわ


そのあとは私の周りの出来事や世間話してたけど、男性は世間から疎遠な場所で育ったのか分からないけど大分物を知らなかったわ


最初、都会のことを高い建物の集合体って言ってたし

知らない集団に襲われて金品を奪ったり


多分集団っていうのはチンピラじゃないかしら?奪ったのはチンピラだと思うし…


この男性弱いなぁって思ったわ

その時だけどこの男性のことを守ってあげたくなったんだっけなぁ


そのあと、わたしの親戚とかお姉ちゃんのこと言っちゃったんだっけ


それが不味かったんだろうなぁ…狩人のこと話したら、急に男性がキレて…


「“ハンター“!?僕を…僕を殺す人達!!」


わたしは戦闘経験もないし、運動能力もないから…すぐに捕まってお腹を殴られたわ



──でも、これは夢


だって今さっき起きたもん、夢じゃなかったら怖すぎる経験だよ…


だからお姉ちゃんが帰ってくるまで…


家で待機!

帰ってきたら報告!

戦闘経験にもなるからお姉ちゃんの援護回復!


ゲームみたいだけど…それしか思いつかないなぁ


お姉ちゃんも頑張ってるんだし、私も頑張らないと!!



━━━━━━━╋


私が帰ってきた時には妹は死んでいた


状況としては家の玄関ドアがへし折れ、鳩尾に穴が空いたままの妹がドアに張り付いていた


目に光はなく、即死だろうというのはわかった


あたりを見渡すと、男がいた


浅くフードを被り、キョロキョロしている男


だが私の、戦闘経験を積んだ目や鼻から


右の拳に付着した血

先程までに誰かを殺したであろう、血の匂い


間違いない



──殺ったのはこの男だ


だが、警戒を怠らない

先程見た夢では、怒り任せに突っ込み、首を刎ねられたのだ


正直に言うと見えなかった

夢とはいえ鮮明に覚えているので繰り返し思い出すが、身体がブレたり何かしらの動きはなかった




──強い


夢から醒めたあとになって分かる男の強さ


毎日使う能力スキルが増幅されたところで、適わないのは夢の中でわかっている



────逃げる


撤退は戦略でもあるが、たった一人の男に対し、私は何百、何千もの化けモンスターを屠ってきた身だ



──『逃げ』はなし

──『戦略』を創る


それでいい


対峙するが、様子を見て殺す

男の攻撃は見えなくとも、女の勘で対処して殺す


勘など当てにしたくなかったが、神にもすがりたい勢いだ


祈る神は死んでいるがな

妹が家にいる、それだけが私の生きていた理由だ


化け物を相手している時は、常にいもうとに祈りを捧げていたものだ


そうして屠ってきた

だがいもうとは死んだ


祈る神がいなければ、この身は死んだも同然か


悔しくはない、優しく育ててきた私の責だ


責は背負わねばいけない

人は数多の責を背負い生きていくのだ

私もそうだ

いもうとを背負って生きていくんだ


そう思うと身体が軽く感じ、能力スキルも増してくる感覚がある


いもうとへの思いが強くなるのだろう

怖くないと言えば嘘になるが、怖さよりも復讐心がそれを覆う


────殺す


声を殺し、男の背後に近寄る

まだ私の領域ではない


殺せる領域ではない


近づく


まだだ


近づく


もう少しだ


あと少し




『狩人は殺す』


耳に響く言の葉は頭を刺激する

だが夢で見た状況と合致している


この後、私がいると分かり


何をしたのかわからない速度で首を刎ねる


分かっている、貴様の殺ることは


だから先手を打つ



…?


胴体が───見え──


なぜ──私は伏して──


──あ──夢──じゃなかっ──



(友達欲しいな)


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