第4話 ハイパーインドア

わたしの休日は基本――いえ、絶対に

外には出ないと決めている。

三階建ての家の三階で姉妹が憩いの場になる中央部にある居間にあるローテーブルにノートと参考書を開き勉強をしている。


「お姉ちゃん、お姉ちゃんこの問題

おしえてー!!」


向かいになかなか座らない妹がノートを

わたしの前に見せる。


テーブルの上にスライドなどすればいいのに

顔と同じ高さで文字どおり目の前で。

二つ離れた蒲池翼かまちつばさは成績が優秀で高校レベルの数学参考書を使っている中学2年生。

わたしも時々参考書を一学年の上を勉強も

するし、今は高校範囲の英単語。

翼が悪戦苦闘しているのは・・・・・


「三次方程式。

えーと、この数式はねぇ、ここを――」


次数が3であるような代数方程式。

中学でこの問題に挑んでいるのが驚きだよ。


「へぇー、こうやるんだお姉ちゃん」


「うん。そうそう、ここまで進まれると

本当に翼は頭いいよ!」


両親が会社で引き込もっているので

わたしが姉として時には親の役割を

こなしている。


そのため妹がなにか

成功や努力には、全力で素直に表を出して褒めることを心得ている。

頭を愛情と誇らしさを込めて

でると、翼は目を閉じ頬は

褒められ赤く染めていき、笑顔を浮かべる。


「えへへ、こうされると幸せ~」


「フフ、それはよかった」


素敵な感想で愛おしい。ボッチのわたしは、ここまで必要とされるのは妹の翼だけで温かくなり、多幸感で溢れ笑顔に釣られわたしも気いたときは、

笑顔を浮かべていたことを

なんども遅れながらある。


わたしが微笑んでいるのを自分でも分かっていて、その顔を

翼はさらに笑顔を増していく。

この憩いが、毎日が楽しく尊い。そんな日々

は、そろそろ終わりが訪れるだろうと

密かに思っている。妹の翼は

わたしとは違い超つくほどのインドアではなく、普通の元気な女子中学生で

そろそろ姉を甘えるのは、卒業が訪れると薄々、考えている。


「お姉ちゃん♪終わったら一緒にゲームに

付き合ってねぇ!」


「いいよ翼」


仮に翼が、友達と遊んだり彼氏とデートなど

していても時々、わたしとこう

変わらず続けてほしいと想う。


勉強を終えノートや参考書を閉じ

わたしは腰を上げる。


「よし、約束通り、ゲームする翼?」


尋ねるような言葉の理由は単純にまだ勉強を

続ける意味も含めて。


「うん、ゲーム!お姉ちゃん早くゲーム!

待っていたよわたしーー!!」


勢いよく立ち上がる翼にわたしは苦笑する。


「そう喜ばれるとなんだか照れるかな」


「お姉ちゃん顔が赤い!かわいい、」


ニンテンドースイッチのコントローラを

握り翼と日が沈むまでゲームに

没頭して遊ぶ。夕食を食べ終え

わたしと翼は次に浴室に向かう。


「今日の夕食のピザおいしかったし、

明日はどうするのお姉ちゃん?」


「う~ん、新刊の発売日だから今日は

1日中、読書かな?」


「もう新刊の発売日なんだ。その本、

面白かったらわたしも読ませてねぇ」


「うん。わかった」


脱ぎながら他愛のない会話をする。

夕食を作るのも、少し億劫だったから

出前のピザを注文した。


両親がいれば、怒られていただろうが

たまにはいいよね、うん。

翼が先に入り、少し遅くわたしも入る。

パスタブに入る前に体を洗っていく。


「えへへ、お姉ちゃん背中が柔らかいよ。」


背中をタオルで洗っていた翼が

急にわたしの背中をハグを敢行。


「もう、そんなことしなくても今日あれだけ抱きついてきたのに翼は甘えたがりだな」


「だって、まだまだ話したいことや

お姉ちゃんに甘えたいことはいっぱい

だからねぇ」


そう断言されると、少し困るけど姉としては嬉しく思う。身体は成長しても

わたしの前では幼い子供のように

接してくる翼は

姉離れ訪れるのは当分、

先のようらしい。

背中を洗い終えると次はわたしが背中を洗う番になる。


「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」


「うん、なに?」


「えへへ、呼んでみただけ」


いつもわたしに離れようとしない翼は

上がってからも、ゲームやテレビなど

時間も忘れ楽しめば必然、時の流れ短さに

おののいてしまう。


0時になると就寝の時間で、わたしの

ベッドの隣に気持ち良さそうに

かわいくいびきをする翼。

わたしは、灯りをなるべく弱くして

読書の世界には入り浸る。


(・・・わぁー、過激だな。たまに新たなる少女マンガを開拓しようと、好きな作家や

表紙で買ったけど・・・ほのぼのじゃない)


わたしは、少女マンガが好きなのは

主人公がイケメンまたは、普通などの男子と

ほのぼのまたは口ケンカなどが

好きなのだ。しかしこのマンガは、

その要素は一応はあるけど過激なシーンの方が多いので・・・こ、困る。


(なんだろう。なんでわたしはこれを――

妹の隣で読んでいる罪悪感と

絶対に見せないよう気を付けよう)


好きな話ではないけど、

最後まで読む。


内容は思ったより面白く本棚に置くと

次は心の静寂になれる純文学作品を読む。

気づけば窓越しから東から昇った太陽の光によ、読みすぎた!・・・

仕方ないよね。と、

ちょっとの後悔と好きなだけ読めた

満足感のわたしだった。

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