当日
「一週間、頑張って考えてみたけど」
「解決策、なーんにも思いつかないね」
千里と百花がため息をつくと、
「うるせぇ!今だって必死に考えてんだ!」
相当気が立っているのか、いつもより声が大きな春樹が返事をする。
今日はいよいよ隕石が衝突するとされる日。
春樹たちが隕石の衝突を予知した2日後に某所の天文台が隕石を発見し、地球に向かってくることを報じた。もちろん世界中が大パニックとなり、世間は最後の晩餐を何にするかや来世に託す希望の話でもちきりである。
「はぁ…一般人は呑気でいいな、地球を救う方法なんか考えずに済むんだから」
ついにリーダー格の春樹までため息をついたその時、千里眼で隕石を見ていた万莉が「あっ…!」と声をあげた。
「「どうしたの?」」
思わずハモる他の4人。
「あの隕石…意思を持ってる」
「石…?あぁ、隕石って石だもんな、ってダジャレ言ってる暇があったら解決策を…」
「お兄様、私はそういうことを言っているのではなく」
万莉が春樹の言葉を遮る。珍しいことだ。
「あの隕石は、人間と同じ感情を持っているの」
「いやいやいや、どういうことだよ…わかるように説明してくれ」
「お祖母様に昔、意思を持った石が数百年に一度くらいの頻度で華宮一族に近づいてくるという言い伝えを聞いたのを、さっき思い出して…完全記憶能力を授かった私が忘れていたなんて、不覚だったわ」
万莉の話を信じられないという顔で見つめる春樹たち。
しかし公樹だけは信じたようで、
「本当だ…あの隕石、緊張してる」
相手の緊張を解くことができる公樹は、一目見ただけで相手が緊張しているかどうかを判断できるのだが、その力がここまで役立ったのは初めてだ。
「やっぱりそうね…言い伝えによれば、隕石と心を通わせることができれば、衝突はしないはずよ」
「本当か!?」
難航していた隕石問題が急に解決に向かい始め、春樹は思わず身を乗り出した。
「それなら、千里たちの能力を使って…!」
「百花たちが地球を救うこともできる…!」
千里と百花も目を輝かせる。
「それは私たちの頑張り次第、というところね」
大きな発見はしつつもまだ油断はできないわ、と抑える万莉。
「よし。これから、能力を駆使して隕石衝突を防ぐ作戦会議だ。時間も迫っている、急ぐぞ。」
「「おーっ!」」
5人は揃って拳を突き上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます