未来予知

 新年度開始から、1週間が経過した頃。


 いつものように生徒会室で5人が談笑していると、

「「…っ!?」」

 突然、5人の体に激痛が走り思わずうずくまる。

 華宮家の人間が未来を予知した時に起こる現象だ。

「…今、見えたのって」

「…間違いない」

「1週間後、隕石が地球に衝突して地球が爆発する…」

 とんだ急展開である。


「えっ…どうするの?パパとママに相談したほうがいいかな?」

「全校生徒に知らせるとか?」

 焦る千里と百花をよそに、

「…別にそこまでしなくていいんじゃないか?」

 いたって冷静な返事をする春樹。

「えぇ!?兄ちゃん、このまま地球が終わってもいいの!?」

「兄ちゃんの意地悪、ひとでなし!」

 千里と百花が思わず大きな声をあげると、

「…いや、そういうことを言ってるんじゃない。一旦落ち着いて俺の話を聞いてくれ」

 春樹はそう言って話を続けた。


「今、俺たちが見たのはまさしく地球が爆発するという惨劇だ。それも一週間後に迫っている。どこかの天文学者が隕石に気付いてニュース速報が流れ、世界中が大パニックになるのも時間の問題…だがここから、俺たちが世界を救ったとしたら、どうなる?」

「世界中から千里たちが称えられる!」

「百花たちみんなでアカデミー賞も夢じゃない!」

「多分それを言うならノーベル賞だな…まあ俺が言おうとしていたこととほぼ一致してる。流石は俺の妹たちだ。

 要するに俺たちがこの危機から世界を救ったら俺たちは世界中から賞賛の嵐、今まで以上に何でも思い通りの生活も夢じゃないってことだ」

「…兄貴、今以上に世界の人たちからちやほやされたいってこと」

 さりげなくツッコミを入れる公樹。

「まあ、そうとも言えるな。…とにかく、俺たちはこの一週間かけて隕石の衝突を防ぐ作戦を考えるぞ、いいな」

 春樹がそう言うと、

「私たちはお兄様について行きますわ」

「兄ちゃんのエゴに巻き込まれるのは癪だけど、地球が爆発するのは嫌だからね」

「それに、作戦が成功すれば世界が百花たちのものに…」

「ほ、本当に大丈夫かな…僕は不安だよ…」

 4人がそれぞれの思いを告げる。

「大丈夫だ。今までだって俺たちに限らず、華宮一族は色んな試練を乗り越えてきた。それに俺たちには“能力”がある。ただの人間には出来ないことだって、俺たちは出来るんだ」

 春樹の自信たっぷりの物言いに、公樹も希望が持てたようだ。

「さあ、これから作戦会議だ!」

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