第四町人 ポム爺さん

揺り椅子で眠るポム爺さんの、額にゃ一本電球が。

前に後ろに揺れるたびに、点いたり消えたり繰り返し。


あんまり点滅するものだから夜になっても、どこにいるのかよく分かる。


奥さんはにっこり笑って、


「昔はずぅーっと点きっぱなしで四六時中何かを閃いていたものよ」


ある日、若いセールスマンが最新の電球持ってポム爺さんに会いに来た。


「いつまでも切れかかってるんじゃ可哀そうだ。いっちょう上等なものに変えましょうよ」


電球を換えたポム爺さん、額が眩しく輝いて、うって変わって元気者。

今日も、せっせと数式作り。ノートの山が積み上がる。

夜になっても家の中は明るいままで、どこにいるのか分からない。


ある日、揺り椅子で眠るポム爺さん。

額の電球、点いたり消えたり繰り返し。


「元気なのは良かったんだけどね、家中眩しくて私ゃ寝られないよ。明るさにも年相応ってものがあるのさ」


ポム爺さんの額の電球、今日もちかちか、揺れている。

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