最終話 巻物(スクロール)はやめてくれっ!(前編)

 いよいよこれで最後となります。

 ここまでお付き合い頂きました皆様、ありがとうございました。


 といっても、『作り方』の部分に関しては、既に大まかな部分は語っちゃっているんですよね。

 ネタ探し、プロット、イメージイラストによるシーン分け、文章に落として描写する……まとめちゃうと、これだけなんです。


 じゃあ、もう、これで完成だね! 全部繋げて1頁にまとめて投――……

 やるなよ!? 絶対にやるなよっ!?

 1頁ブラウザ10画面分以上って、もはや巻物(スクロール)だよっ! いつの時代の書物さ!? 退化してるよっ!

 いや、別に、やりたきゃいいけど……!?


 というわけで、最後は『1頁あたりの文字数について』です!


 まず初めに断っておきますと、ぶっちゃけ『好みは人それぞれ』です。長文が気にならない人も居れば、気になる人も居る、というだけです。ただ、その『好み』が生まれるには、何かしらの理由があると思うのです。

 

 この点、文庫本というのは、とても良く出来ていると思います。まずコンパクトで軽量、持ち運びに便利で、取り出すのも簡単。いつでもどこでも、手軽に読むことが出来ます。

 この文庫本ですが、片面1頁あたりの文字数は約600~800字程度です。これは一般的な大人であれば、1分以内に読めるとされている文字数です。つまり、文庫本は1分あったら1頁読めるんです。でもって時間が来たら、コンビニのレシートでも挟んでおけば、またすぐ続きから読むことが出来ます。とても便利です。


 さて。

 それでは皆様、お手元にストップウォッチ等をご用意くださいませ。 無ければ普通の時計でも構いません。なるべく秒単位まで分かる物が望ましいでしょう。やることは簡単です。ご自身の小説の本編最初の1頁を音読して、何分掛かるか測ってみましょう!


 ……さぁ、何分掛かったでしょうか?

 実の所、黙読速度というものは、人によって物凄い差があります。仕事で大量の書類に目を通す人なんかだと、かなりの速度で読めっちゃったりします。

 ですが、一般的に『小説を楽しむ』という点で考えますと、多くの人が各登場人物に脳内声優を充てて、臨場感たっぷりに読むことが多いのではないでしょうか?

 そう考えると、せいぜい音読速度より少し早いくらいになると思われます。


 なぜ、この所要時間が重要なのかといえば、『ページの途中で一旦読むのをやめて、後でその続きからまた読み出す』という行動を、皆様は普段の生活でしているかどうか、という事です。

 アニメの様に途中でCMが入る類のものなら、どこまで見たかも覚えやすいので、『時間が無いから、後半は明日見よう』ということも十分あり得ると思いますが、2時間映画のDVDを毎日30分ずつ視る人は少数派ではないでしょうか。むしろ、2時間映画なら2時間ガッツリ見れるように、スケジュールを調整してから、DVDを借りに行くのでは無いでしょうか。

 そうであるならば、『1頁の音読にかかる時間=その作品を楽しむ為に読者が用意しなければならない時間』と考えることが出来ると思うのです。

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