第4話 彼らはちゃんと生きているか!?

 今回の『小説の書き方(ただし、自己流)』も、いよいよ仕上げに入ります。

 ここまでに、『種(ネタ)を膨らませて』『プロットにして』『文章で描写』しました。

 この時点で既に小説らしきものは完成しています。

 後は全体のバランスを見ながらブラッシュアップをするだけです。

 注目する点はただ一つ。登場人物たちが『ちゃんと生きて』いるかどうか、です。

 

 普通の人間は生きている限り、食事をするし、排泄もします。

 汗も出れば、鼻水も出ます。着替えもすれば、洗濯もします。 

 成人男性なら毎日ひげが伸びますし、一カ月も放っておけば髪や爪もかなり伸びているはずです。

 虫に刺されれば腫れるでしょうし、乾燥すれば手や唇が割れる事もあるでしょう。

 ですから、ちょっと振り返って見てください。

 貴方の登場人物たちは『ちゃんと生きて』いるでしょうか?


 もちろん、その全てを逐一描写する必要はありません。

 大切なのはバランスです。

 誰かに読んでもらう文章ですから、テンポは非常に重要です。 


 ですが、『書かれていない』のと『考慮されていない』のは別物です。

 

 貴方の登場人物は、ちゃんと暑さや寒さを感じていますか?

 いろいろな味を感じていますか?

 様々な音を聞いていますか?

 風が運ぶ、草木や土や獣や人々の匂いを感じ取れていますか?


 それが無味無臭で食事排泄一切不要なVRMMOの世界とかだと難しいでしょうが、そうでないなら、そういう部分も『考慮』しながら描写を考える事で、その世界は更に広がっていくと思います。


 ちなみに、仮にMMOの世界だとしても、その向こう側に『普通に生活しているプレイヤー』がいるのなら、生活感というものは、案外出るものだったりします。

 私のMMO経験から申し上げるなら、『メシ落ち(食事なので落ちます)』『フロリダ(風呂なので離脱します)』という会話(?)はほぼ毎日の事ですし、学生プレイヤーから宿題の相談を受けたり(特に夏休み)、パーティプレイの真っ最中に中の人が変わったり(「塾の時間なんで続きは弟に任せます」「旦那帰って来たから代わるわ。夕飯支度しないと」)等々、実にリアル生々しい

 一番凄かった(酷かった?)のは、某店長の一言。


 『あ、客来たから落ちるわ』


(―――― てぇえぇぇぇんちょぉおぉぉぉっっっ!?)


 当時まだ学生だった私は『世の中にはいろんな人がいるんだなぁ』と深く実感しました……。



 と、まぁ、少し脱線はしましたが。

 物語の登場人物たちにも、好みや趣味や生活があるハズです。

 それが感じられる(少なくとも想像する余地のある)、そんな作品を目指しながら、誤字脱字と合わせて描写の最終チェックを行います。


 といったところで、本日はこれまで!

 明日は最終話を掲載予定です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る