第3話 紙芝居を作ろう

 物語の大筋が決まったなら、いよいよ実作に入ります。

 前回までがいわゆる『構成』にあたり、ここからが『表現』となります。

 全5~6話程度を予定しておりますので、今しばらくお付き合い頂ければ幸いです。


 私が小説の文章を書き始める時は紙芝居、あるいは絵本のような、『1シーン=一枚絵+文章』の形でイメージします。もちろん、実際に綿密な絵を描く必要はありませんが、脳内絵師様への発注用ラフ書き程度なら描き起こせるくらいに、構図や内容はしっかり決めてしまいます。

 つまり、『そのシーンに一枚絵をつけるなら、どんな絵が良いか』を考えるわけです。


 小説において、何をどの程度描写するか、この匙加減はなかなか難しいです。

 漫画や映像作品では、細かい所まで作り込む方が良質とされる傾向が強いですが、小説の描写は必ずしもそうとは限りません。小説は(特に娯楽を目的とする物は)ストーリーや掛け合い、登場人物たちのリアクションなどを楽しむ為に読む方々が多い気がするので、意味も無く微に入り細を穿つ様な描写は控えた方が無難かな、と。

 元気に飛び跳ねるヒロインは是非見たいという方も多いでしょうが、『飛び散った汗の雫がさんさんと降り注ぐ陽光の日差しを受けてキラリと輝く』様子を見たいという奇特な方は、極めて少数派ではないかと思うわけです。


 ですから、そのシーンにおいて、描写する情報と省く情報を選別します。

 誰が何をしている瞬間か、場所(背景)はどんな様子か、周囲に他の登場人物は居るだろうか、服装はどうだろうか、表情はどうだろうか……etc

 自分が『イラストを付けるなら、この一枚!』と思える絵をイメージして、その絵に採用された要素に関しては、本文中でも丁寧に描写を入れます。逆に、一枚絵に入らなかった部分は、さらっと流してしまいましょう(笑)

 そうやって、一つのシーンの中で、描写にメリハリをつけるわけです。

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