第3話「呟怖3」

第一話「いらない子」




「お前はもういらない」


見た事もない人形を大事そうに抱き抱えた母に、突然そう言われた


愕然とする私、だが次の瞬間、世界は暗転した


目を覚ますと、私はベッドの中にいた


部屋を出て下に降りると、父や母が仲良く食卓を囲んでいる


見ると何故か私の椅子に、あの人形が座らされていた





第二話「牛の首」





「ねえねえ、牛の首って話知ってる?」


「もう由美、唐突に何?」


「聞いてって、聞くとその怖さで死んじゃうらしいのよ」


「はは、何それ、じゃあアンタ何で死んでないのよ?」


「えっ?」


その途端、由美の顔が真っ青になり、突然口から大量の赤黒い泡を吹きながら…目を見開き、絶命した




第三話「夜川」




心地よい夜風が、川面に波を立てている


橋の上から眺めていると、ふと水面に、橋の手摺に座り、私と同じように川を眺める少女の姿が映りこんだ


振り向こうか迷った


だってもし実在しない人だったら?


何てね


くすりと笑いながら振り返る


同じ顔の少女が三人、此方をじっと見ていた…





第四話「酔いどれの戯言」




「俺は人を殺した事がある」


と、話かけてきた男と出会った


前科者のようで、それ以外にも沢山の悪事で捕まった話なども聞かせてもらった。


「いや~ほんと色々やらかしたんですね、ちなみに殺人って、何年ぐらい刑務所に?」


「あ~それはまだだな」


速攻で逃げた。


友人談





第五話「不安な山」




祖父が山登りをしていた時の話


すれ違う登山客が口々に


「今日は絶好の登山日和ですよ」


と、気持ち悪いくらいに繰り返し言ってきた


流石に怪しんでいると、祖父はその異変に気が付いた


少し前に通り過ぎた登山客と、同じ顔をした人物が降りて来たのだ


祖父はその日、迷わず下山したそうだ





第六話「山の地蔵」




死ぬつもりで山に登っていた最中、見も知らぬお爺さんにお茶を一杯ご馳走になった


お礼を言おうと振り返ると、そこには誰もいない


が、どことなくお茶をくれたお爺さんによく似たお地蔵様が一体、ぽつんと、野脇に据えられていた


「また来ます」


そう言って手を合わせると、俺は家路に着いた

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