逆回転

やっと、と思ったらダメで

見ていたのは幻で

芯熱にじわりと汗は滴り

ゾワゾワの気配を感じて

泣き出しそうになる


底から湧いてくるような

得体の知れない苛立ち

心臓のバクバク

叫び出したい衝動

なのに声が出ない


この問答無用は何だ

不条理を恨みたくなる

行き場のない怒り

どす黒い感情を

せめて薄めてくれよ


幾度となく繰り返される日常に

疲弊ひへいはしても慣れることはない


逆回転をする度に

わたしの精神こころ

ゆっくり殺されていく


もう悲鳴もあげずに

静かに

あまりにも静かに


誰にも気づかれずに

ことりとも言わず


そして息絶える

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