雷鳴

朝から灰色雲に覆われていた空が

どんどん明度を落としていったかと思うと

大粒の雨が降り出した

稲光がしたしばらく後

遠くで雷鳴が聞こえる


この不安な気持ちは何だろう

心が剥き出しにさらされているような

忘れようとしているものを

突きつけられたような


追いつかずに喘いでいる

急かされるように雨脚が強くなる

傘の端から出てしまった肩が

すっかり濡れて冷たい


家はまだ遠い

あの坂道を上り階段を踏みしめ


雷鳴が近づいている


雨は当分止みそうにない

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