風と一緒に

段々道駆け下りる

むせかえるような草の匂い

いちめんの菜の花の黄色が

目に眩しい


ズックを履いた足は

弾むように軽い

風が耳元で

ひゅんひゅんと唄う


青空と真っ白な雲だけが映る瞳には

雨の気配はまだ無かった


段々道を跳ぶように駆け下りて

わたしはあの頃

何処までも往けると信じていた


まだ恐れも知らず

夢の意味もわからず

ただ胸を張って


古木を埋め込んで作られた段々

不格好な凸凹の不安定ささえも

踏み込む力に代えて




嗚呼

もしできることなら

風と一緒に


あのまま何処までも往きたかった

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