小さな公園
あの小さな公園は
まだあの場所にあるだろうか
小高い丘の上のあの公園
海が遠くに見えて
大きな木があって
その木の下で
わたしは初めて作ったクッキーを
渡したのだった
赤い蓋のついた瓶に入れた1番上は
チョコレートをかけたハートのクッキー
あの頃
大切に長い間育てて実らせたものを
あんな形で喪うことになるなんて
思いもしなかった
優しいものだけにならなかった過去を
今更 恨みたいとは思わないけれど
あなたが逝ってしまった後の
やり切れぬ情景の破片が
胸に刺さったまま今もどうしても抜けない
あんなものは見たくなかった
消せない記憶がただずっと哀しい
あの小さな公園は
まだあの場所にあるだろうか
小高い丘の上の小さな公園
あなたとの想い出は
あの公園だけでいい
あの木の下で
初めて手を繋いで
黙って遠い海だけを見ていた
学生服の二人
夕焼けに染った横顔と
掌の温かさ
あの日の想い出だけでいい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます