第29話 全て遠い夢のあと

 メアリーが初めてのネットカフェでの飲み会を体験してから、既に一カ月経過しようとしていた


「さあ、来い野盗共! このマジカル戦士アプリコットちゃんが成敗してやるわ!」


 メアリーはソルジャーのクラスから魔術士ソーサラーのクラスにクラスチェンジし、メインクエストである馬泥棒討伐ミッションをプレイしていた。ちなみに戦士ソルジャーのレベル48、魔術士ソーサラーレベル26が計74レベルがメアリーの総合レベルである


「舐めるなよこのアマ! 盗まれた馬のを取り戻すつもりだろうが、そうはいか・・・」


 野盗の頭がセリフを言い終わる前にメアリーは武器を引き抜いた、魔法の杖である。だがその杖は魔法の杖と言うには大きく幅広い大雑把な物であった、そのマジカル素敵ステキをメアリーは戦士クラスで鍛えた腕力で力任せに振り回した


「ルーシーに教えてもらった製作技術で試作したこの武器の試し打ちには丁度よいわ! 塵となるがよい! ファイヤーボール!」


 メアリーは火球を上へと投げ


「アンド!スマッシュ!!!」


 その火球を杖で打ち、前方の野盗集団に火球は威力を増して飛んで行き爆発を引き起こす


「ぐわわわわわ!」


 野盗の頭、野盗E,F,G,Hは28から30ダメージを受けた。野盗は反撃しようとメアリーに襲い掛かる!


「させないよ!」


 しかし物陰に隠れていたショウが野盗達の不意を突き斬りかかった! 野盗Eに18ダメージあたえ倒し


「うご!」


 つづいて野盗Fに20ダメージ、野盗Gに17ダメージ与え倒した


「うわ!」「ぐへ!」


「不意打ちとは卑怯だぞ!」


 そうに斬りかかろうとした野盗Hの攻撃は・・・


「させません」


     「ガシュン!」


 ・・・採掘用レンタルユニット仮称ギリアンが盾になった事により防がれてしまう、だかショウの代わりに仮称ギリアンは倒れてしまう。それを見たメアリーは怒りの声を上げる


「偽リアンが倒れた! よくも!」


 メアリーはステッキで野盗Hと野党の頭を殴り倒した。野盗Hと野党の頭に25ダメージ、メアリー達は野盗達の戦いに勝利した


「やったー! これで私も自分の馬を買える!」


「よかったねメアリー、さっそく檻を開けてクエストを完了させようかようか」


「うん!」


 馬が捕らわれた檻を開け、メアリー達はクエスト完了となった。そしてサポートユニットである仮称ギリアンが自動的に蘇生される


「おめでとうございますショウ様」


「いや、だからクエストクリアしたのはメアリーだからね!」


「そさようでございますか。おめでとうございますメアリー様」


「ありがとう! もう、偽リアンさんにも慣れたわね」


 そんな事を言いていると仮称ギリアンは突然頭を下げた


「申し訳ありません、契約期間が終了したので帰らせていただきます。よろしければまたのご利用ください。では」


 そう言って仮称ギリアンは帰ってしまい、ショウは安堵する


「やっと解放された・・・」


 メアリーの方は悲痛な悲鳴を上げた


「きゃあああ! 大事な荷物持ちが!! 預けた荷物どうするのよ! 必死で集めた私の略奪品が!」


「マイルームのアイテムボックスに自動で送られるから大丈夫だよ」


「ほんとに? よかった・・・」


 安心するメアリーを見てショウは意地悪な笑みを浮かべて言った


「つまり、今あの偽リアンはメアリーの部屋に入ってクローゼットを開けてアイテムを・・・」


「気持ち悪い事言わないでよ! きっとあれよ!郵便かなんかで届くのよ! きっとそうよ!」


「しかし現実は・・・・」


「何が現実じゃい! 思いっきりデジタル世界でしょうが!」


 ショウはメアリーの反応を見て満足そうに笑う


「ハハハ!そうだね。しかしあのまま、ついて来るとは思わなかったよ・・・・。辛かった、一生離れないかと思ったよ」


「でもいい人でよかったじゃない、AIだけど。さっきも身を挺してショウを守ってたし」


「だから、なおさら邪険に扱えないから困るんだよ! 完全なお邪魔キャラじゃなくてサポートユニットとして有能だし!」


「まあそこはルーシーの善意でしょ、ホントにショウの事が嫌いなわけじゃ無いでしょうし」


「むしろ計算された悪意だと僕は思うね! そんな事絶対ないね!」


「ほら、さっさと迎えの馬車に乗って受付でクエスト完了させるわよ」


 馬車に乗り冒険者ギルドに戻りクエストを完了させた


「お疲れ様でした」


 報酬4000ゴルドと、メアリーは新たなクラスの解禁と馬小屋での馬の買い取りが出来る様になった。ショウはレベル10になった


「今の私のレベルじゃ本当に軽いクエストだったわね。面倒臭くて後回しにしすぎちゃったかしら」


「僕はやっとレベルが2ケタになったよ・・・、がんばったなぁ。ごめんね、なんか僕の経験値稼ぎに付き合わせて」


「平気よ、強い敵との歯ごたえのある戦闘より、群がるザコ敵をバッタバッタと薙ぎ倒す方が好きだから!」


「おおう、すっかり戦闘狂になってしまわれましたねメアリーさん」


「魔法とスキルの合わせ技を覚えたからね。こういうアレンジでオリジナル技を編み出せるっていいわね」


「このゲームのコンセプトが、複数のクラスの技を覚えて自分のオリジナルキャラを作って仲間と冒険しよう! だからね。これでメアリーは馬を買えるわけだけどクラスを騎手ライダーに変えてるのかい?」


 ショウの質問にメアリーは腕を組んで悩んだ


「そうね、レースにも挑戦したいし・・・、でも魔術師のマジックアイテムを作るスキルだけじゃ物足りなくなってきたから製作系のクラスも取りたいのよね」


「うーん、戦闘のスキルが足らりないから、戦闘も楽しもうとすると今じゃちょっときびしいかな?」


「レースに参加するだけでも経験値入るのよね? それなら・・・、やっぱ戦う方が良いからメインクエスト消化しちゃいましょうか」


「そうか、じゃあ僕は弱体化装備を整えたいからアイテムを整えてから次のクエスト行こう」


「オーケー、じゃあ10分後にここに集合ね」


「もうちょっと時間くれない?」


「いやよ、ショウは着替えが長いんだから」


「え~あと五分」


「ダ~メ。ほらっさっさと着替えてくるのよ無能王子」


「無能言うな!」


 メアリーはショウと別れて自分のマイルームに戻っていった

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