第27話 化学の力技料理vs男料理
メアリーは鳩鳥に頼みたい物を聞かれメニューに目を通した
「この、はぐれキノコとキメラ肉団子の丸ごと包み焼き、をお願い」
「よしわかった、頼んでそっちに送るぜ」
鳩鳥がそう言うと80秒してからメアリーに包み焼きだ届けられた
「おお!巨大なキノコが丸ごと入ってる! リアルはどうなっているの?」
メアリーはVRユニットの下の窓を開けて現実に出された料理も確認した
「ゲームのグラフィックとほぼ同じだ! でもこのキノコどっから手に入れたんだろ」
驚くメアリーを見てポピーも通信に加わった
「合成食品だよ、ゲームでの食材を合成的に作ったいわゆる食べれる人形みたいな物さ」
「人形って事は栄養とかどうなってるの?」
「実在する食品に近づけてるはずだよ、栄養素で味が変わっちゃうからね」
「へー。今までもき気づかずに食べてたんでしょうけど、私外に出て何かお店に遊びに行くときは友人について行く事しかしてなかったから、こういうの全然気にせず生きて来たなぁ」
しみじみと言うメアリーにポピーは言った
「まあ色んな物があり過ぎてどれに手を付けて良いのか分からずに生きてる人は多いから、そんな気にしないで。現代人は食事だって大体インスタントが定番なんだから、個人営業の料理店にでも行かないと手作りの料理なんて今の時代なかなか食べられないし」
「料理だって完全に趣味の世界だもんね。動画でたまに見るけど、もう何をやってるのかさっぱりわかんないもん」
「母親が料理している所を見ないで育つからね今のコは、ポピーおじさんが教えてやりたいよ、家庭の味ってヤツをさ・・・・」
しみじみと言うポピーの言葉に反応したのか、早くも3杯目のエールを飲んでフライドポテトとカラ揚げを摘まんでいた鳩鳥が言った
「お、面白そうだなそれ。料理なら俺が出来るぜ」
「え!ハトリンが!?」
「なんだよ、意外か? 昔は1人暮らしの男は自炊してたって言ってたじゃねえか」
「いや…、確かにそう言ってたけど・・・。ホントに大丈夫?実は料理気分を味わうだけの合成食品の詰め合わせじゃないよね」
「ちっちっ! 俺を甘く見てもらっちゃ困るな! 日本全国を周り今時珍しい個人の農家やフェリーでしか行けない離島の漁業! はては害獣駆除のハンターの世話までこなした俺には天然食材を入手するコネはいくらでもある!」
メアリーは鳩鳥の言葉を聞いて驚きの声を上げた
「凄い! まさに大自然の恵みね!」
しかしポピーは驚きを通り越して呆然としていた
「家庭料理通り越して大自然になっちゃったよ・・・・。細かいこと聞くけど調味料は?」
「醤油や味噌はもちろん、マヨネーズとか・・・・、後はバイトでサトウキビから黒糖を作った事があるぞ」
メアリーは再び驚きの声を上げた
「何でもできるのね! 凄まじい家庭力!」
「おう! その気になればそこら辺の雑草だって料理してみせらぁ! 毒が有ってもモノによっちゃあ毒抜きできるしよ」
ポピーはそれを聞いて流石にツッコミを入れた
「それ一般的な料理ってレベルじゃないよね! 一種のサバイバル技術だよね!」
だがポピーの言葉は盛り上がる二人には届かず、さらに話は続き鳩鳥はこう言った
「そうだメアリーちゃん、今度俺が作った料理を業者に頼んでキュッとレトルトパックにしてショウの所に送ってやるよ。二人で試してみたらどうだ」
それを聞いてポピーは再びツッコんだ
「いやいや! 天然素材使ってもそれじゃ台無し・・・」
しかしメアリーは乗り気だった
「いいの! じゃあお願いしようかな」
メアリーの反応にポピーは驚きの声を上げる
「いいんだ!今時のコってそれでもいいんだ!? というかレトルトの意味分かってるメアリン?」
驚くポピーに鳩鳥は起あきれた様に言う
「なんだよポピー、ルー爺とまでは行かないまでもそれなりに年くってるんだろ? 頭硬いなぁ、ルー爺を見習えよ」
「ボクまだ50代だよ! それにあの人と比べられるのは色々と恐れ多いから!」
メアリーは狼狽えるポピーに質問した
「ポピーちゃん、ルーベンスさんとリアルで会った事あるの?」
「直接会った事は無いけど、一度だけ仕事で彼の事を聞いたくらいだよ」
「ふーん。ねえポピーちゃんも料理できる? 良かったらポピーちゃんの手料理も食べてみたいんだけど、いいかな?」
「簡単なのならできるけど・・・、ゴメン無理だ」
「どうして?」
「最近のインスタントは美味しいから太刀打ちできないんだ、若者の家庭料理のイメージが悪くなるのは嫌だからホント無理!ゴメン!」
鳩鳥はポピーの言葉を聞いてウンウンと頷いた
「そうか・・・、わかるぞ! 俺も自分で美味いと思える料理を作れるようになるまで5年くらいかかったからな・・・」
メアリーは鳩鳥の言葉を聞いて呟いた
「うわ、そんなに料理って難しいの?」
メアリーにポピーは言う
「というより、最近のインスタント食品が美味しすぎるんだ。ボクぐらいの世代にとっては科学技術の暴力だよアレは」
「そうなんだ・・・。私もちょっと料理に挑戦してみようかと思ったけど、やめようかな」
鳩鳥はメアリーに対して言った
「取りあえず俺の料理を食べてから決めるってにはどうだ。頑張ったらこれくらいはできるって目安としてよ」
「そうね、そうしようかな」
「作るとしたら何が良い?メアリーちゃんは苦手な物とかあるかい?」
「酸っぱいものや酸味が強い物以外なら何でもいいわ。ハトちゃんオススメの一品をお願いします」
「よし!まかせな!」
ポピーはやるせなさに頭を抱え静かにぼやいた
「このリアル冒険者め・・・、はあ、年くったなあ」
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