ギルド、アンファングの仲間達
第25話 飲み会
鳩鳥と待ち合わせをしている冒険者酒場ソーマに到着したメアリーとショウ
「いらっしゃいませー! ご予約されているアンファングのメアリー・アプリコット様とショウ・ジョーンズ様ですね」
店に入るなりNPCの店員に名前を言われメアリーは驚きながらも返事をした
「はいそうです!」
「席にご案内します、こちらへ!」
メアリーは席に案内される道中、ショウに小声で話しかけた
「ねえショウ、予約すると名前呼んでくれるのね」
「情報が店に登録されるからね」
「店に始めて来るお客さんの顔を見て直ぐに分かるって、リアルでいたらかなり優秀な店員さんね」
「それ、優秀通り越してホラーになってない? エスパーだよねソレ」
店員の足が止まったのを感じ、一瞬二人はビクリなりながら止まって話を中断した
「こちらのご予約された個室はこちらのになってをります。御用がありましたら遠慮なくお申し付けください」
「はい、ありがとうございます!」
メアリーとショウは案内された個室へと入った。ショウは辺りをキョロキョロと見渡す
「まだ誰も来てないみたいだね・・・」
「ちょっと早かったかしら?」
席についこうとする二人に向かって何者かの声が呼びかける
「ここに居るぞ! 下だ、下!」
言われるまま下を向くと、小さく飛びはねるドワーフが居た。そのドワーフをメアリーは両手で持ち上げた
「わあ、もしかしてドワーフ? こんな小さくて可愛い顔のこも居るんだ」
「オッサン顔だけしか作れないならドワーフのプレイヤーが少なくなるだろ。昔のゲームはオッサンしか居なかったらしいが大人の事情ってやつよ!」
「白雪姫の七人の小人みたいね! ・・・・あれ、その口調もしかしてプレイヤー?」
「そうだよ! 君がハットリンの言っていた初心者だね」
メアリーは謝りながらそのドワーフを床に下ろした
「あ!ハトちゃんの知り合い!? 勝手に持ち上げてごめんなさい!」
「気にするな! 慣れなうちは人間離れした体格のアバターをプレイヤーとして認識し辛いのはネットゲームあるあるだぞ。分かった上で試しにからかったのさ」
「そうなんだ。メアリー・アプリコットですよろしく」
「ボクはポピー・マキムラだよ!よろしくね、メアりん」
「よろしくね、ポピくん」
メアリーとポピーは互いに握手した
「しかしごめんね、メアりん。ハットリンからは盗賊装備って聞いてたんだけど、まさかのスカートで来るとは思わなくてさ! もう眼福・・・、うぎょ!」
メアリーはポピーを踏みつけた
「もしかして、の!ぞ!い!て!た!のぉ~?」
「うひょう! 見えましぇん、ゲームのシステム的な都合で黒い影しか見えましぇん。何たる理不尽!しかしボクを踏みつけようと足を上げる動作はなかなかソソルものが・・・がぴゅう!」
メアリーは更に力を入れて強く踏み、ポピーは床に寝転がりジタバタしている
「もっと強く踏んであげましょうかぁあ!」
「ああ良い!凄く良い! ブーツの鋲がコリコリとボクの鉱山労働で固まった顔の筋肉がもみほぐされていくぅ!」
「恥を感じるまでその面の皮を削るってみるぅ!?」
「ふん!できる物ならやってみろ! ボクとメアリーとのレベル差じゃダメージは入らないよ! さあ、悔しかったらもっと強く踏んでくれ・・・、おごお!?」
ポピーは呪われて継続ダメージを受けている。その様子を見たメアリーはびっくりしてポピーから足を離した
「な、なに!? これがまさかの運営からのペナルティ!?」
動揺するメアリーの後ろから、また新たな人物が声をかけた
「入口が狭いわ、どいてくれる?」
「あ、ごめんなさい・・・ってルーシーじゃない!」
「ごきげんようメアリー、驚かせてごめんなさいね。恒例行事みたいなものだから」
「恒例行事?」
ポピーは床をのたうちながらメアリーにすがりついた
「ルーシー喉・・・相変わらず見事な呪いですが解いてくだされ、このままじゃ食事が喉を通りませぬ、つまりここまで来てメニューを頼めませぬ!」
「そのまま部屋の隅で悶えてたら?」
「そんな!」
二人のやり取りを見てメアリーはショウに小声で話しかけた
「ねえショウ、あの呪いってルーシーが?」
「そうだよ、ルーシーは弱体化のスキルを極めてるからね」
「なんで?初めて会った時クラフターて言って無かった?」
「弱体化と言うよりダメージ量の調整が上手いんだよ。モンスターから素材を集める時はあまり強い攻撃をしてしまうと素材が出なかったり、逆に程よいダメージで倒せば素材を落とす確率が上がるから、素材集めの為の戦闘スタイルに調整してるわけさ」
「へ~、なるほどねぇ、物を作る為の素材集めを想定してキャラを鍛えたキャラか、勉強になるわ」
ポピーは更にルーシーに呪いをかけられ悲鳴を上げていた!
「ルーシー殿ぉ! 許してくだされ!!」
「だめよ、新人にあんな事して、メアリーが許しても私が許さないんだから」
その光景を見てメアリーはショウに聞く
「アレ助けた方がいい?」
「二人は同じクラフト系のプレイスタイルでよく一緒に居るし仲がいいんだ。実はルーシーが作れない物はポピーが作れるように、またその逆も考慮してお互いにサポートし合えるようなレベリングをしたって噂だよ」
「そうか、お互いに楽しんでやってるならそっとしておいた方が良いか。ポピちゃんなんかキャラが微妙に変わってるし」
ポピーはまだ叫び声をあげていた
「メアりん助けて! ボクを楽に! 止めを刺して!」
「ごめんポピちゃん、私そんな趣味無いから二人で楽しんでね」
「そんな! 精神だけでなく物理でのいたぶりも味わえると思ったのに! おごご!」
ルーシーはにこやかに笑ってこうメアリーとショウに言った
「ゴメンね馬鹿に付き合わせちゃって。さ、立ってるのもなんだしアイツは放っておいて席につきましょう」
「そうね、じゃあお言葉に甘えて」
「昨日チェックした新メニューおいてあるかな? 売り切れてたら嫌だなぁ」
うずくまっていたポピーは、薬のような物を飲んで呪いを治し飛び起きて席についてメニューを開いた
「新メニューか、ショウくんどれ?」
「これだよ。殻ごと食べられるたっぷりワタリガニのトマトパスタ」
「ほ~、美味しそうでありゲテモノ感もあって好みが分かれそうなメニューだね! 僕もこれにしようかな」
「合成肉の蟹だろうけど殻の食感がどうなってるか試してみたいわよね」
楽しそうに話し出すショウとポピーを見てメアリーは呟いた
「二人とも切り替え早いな・・・」
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