第23話 身だしなみを整えて

 防具屋で試着しながらインナーを選んでいたメアリーは、インナーの上に着る服を選んでいた


「ほ~、和服もあるんですな。着物の下にボンデージって変態チックね」


 一方メアリーと行動を共にしていたショウは床にうずくまっていた


「ヤメテ・・・、これ以上僕を汚さないデ・・・」


「なによく分かんない事言ってるのよ、まったく・・・。これもイイ感じだけどやっぱり洋服かな?」


    「パララン」


 メアリーはブリガンダインを試着した


「ふむ、布地の裏に鉄板が張ってあるのね。防御力高いけど、もうちょっと軽くしたいな・・・・ これはどんな感じ?」


   「ポロン」


メアリーは水色の商人の服を試着した


「あ、これ可愛い。アイテム屋さんの格好かな? ・・・性能は微妙だけど特殊効果でアイテムをNPCに売却した時により高く売れるのね。でも商人プレイする気は無いんだけど・・・・」


 悩むメアリーに突然ショウが起き上がってアドバイスした


「改造して強化する事も出来るし、とりあえず見た目で選ぶのもいいんじゃないかな」


「うわぁ!復活した!? ショウ脅かさないでよ」


「ごめんごめん、もう大丈夫だよ」


「何が大丈夫なのよ・・・・」


「何があってもあるがままを受け入れる・・・、そう悟ったんだ。僕の悩みはキレイさっぱり晴れたよ!」


「ああ、そう・・・。それじゃあコレにしようかな。あとはスカートにしたいんだけど・・・」


 メアリーは水色の商人のスカートを試着した


「うーん、このスカートのデザインは好みじゃ無いのよね。他には・・・」


 「パララッ」


「あ、このブリガンダインのスカートが意外と良い! 裏に鉄板が入ってるからちょとフワッと膨らんだ感じで固まってるし。柄もいろいろ選べるのね・・・、これにしよう」


 メアリーは水玉模様のブリガンダインスカートを試着し、ショウは感想を言った


「膝の上のくらいの長さでキュートですなメアリー。・・・でもよく見るとその水玉模様てプレートを固定する為のリベットだよね」


「なんかパンクファッションみたいね、上下を黒で統一しようかしら」


 メアリーは服の色を変えながら試行錯誤し、整えるた


「おお! 赤のチェックが良いアクセントになって可愛ねメアリー! アイドルの格好みたいね」


「そうね! ・・・・社会人になってまでなんて格好してるのかしら私」


 落ち込んだ目でうつむくメアリーに、ショウはキラキラした目で言う


「ゲームでそんな事を気にしちゃ始まらないでしょう、気にしないでそれにしようよ!」


「うーん、でも無理に若作りしてるみたいで嫌なのよね・・・・」


 ショウはメアリーの反応に困惑している


「インナーにボンデージを平気で選ぶのにそこは気にするんだ…。と言うか、メアリーってリアルでも童顔だから似合うんじゃないかな?」


「だからなおさら嫌なのよ! たまに学生にナンパされるのよまったく! 何が奢るよ!私を誘うのには十年早いわ!失せろガキども! せめてウイスキーをストレートで飲めるようになってから出直してこいっての!!」


「若作りが嫌なんじゃなくて、若く見られるのが嫌なんだね。そう言えばメアリーって今年で何歳だっけ?」


「アンタと同期なんだから大体察しはつくでしょうが」


「ああ・・・。僕はもうちょっと若作りしようかな」


「アンタは若作りの前にもうちょっと化粧を落としなさいよ」


「だって、化粧がなんか苦手で、色々試行錯誤したり失敗を隠そうとしている中にどうしても厚く塗り過ぎちゃうんだもん」


「そもそも化粧苦手だったのね、わざとだと思ってたわ」


「おかげですっぴんのまま町で同僚とすれ違っても全然バレないよ! プライバシー守り放題!」


「その同僚の中にもしかして私も入ってる?」


 ショウは不敵な笑みを浮かべ、こう言った


「フフフ…、この間休日に生クリームたっぷりのクレープを3つ食べ歩きながら真昼間にビールを楽しんでいたのはドコのダレカナ?」


「怖っ! いたんなら声かけなさいよ!」


「ゴメンごめん、次は声かけるからさ。だから私の化粧姿をハクさんやギルドの仲間に見せるのはどうかご勘弁ください!」


「わかったけど、今日の飲み会の話のネタにしたかったんだけどな」


「もしバラしたら、今日その飲み会でメアリーのから揚げにレモンを盛ってやる、いや、むしろから揚げを絞って肉汁をジュルジュルっとかけたレモンを食べさせてやる」


「わかったからやめて! 酸っぱいの苦手なのに、さらにおぞましいアレンジを加えるな!」


「はは、冗談だよ。ネットカフェのシステム的に人のから揚げに勝手にレモンかけるとかできないから、人それぞれ個別に料理が出されるし」


 ショウの言葉を聞いてメアリーは安心のため息を漏らして、気分を切り替えた


「ふう…。じゃあ後は靴とか小物を買おうかな」


 メアリーは鋲付き軍靴を試着した


「昔の軍靴か、見た目はレザーのロングブーツだね」


「おお、茶色いシンプルなブーツが欲しかっただけなんだけど、靴の裏が鋲が敷き詰められて凄い事になってるわね。なんで?」


「昔はゴムのソールがなかったから滑り止めの為に鋲を打ったそうだよ。僕も知り合いから何となく聞いただけだから確かな事は分からないけど、山道ならともかく屋内では滑りやすい上に、倉庫の中で歩いたら火花が出て燃料に引火する事故が起きたり、雪原を行軍してたら鋲から冷気が足の裏に伝わって死傷者を出したとかとんでもない靴だったみたいだよ」


「危な! 昔の人は何考えてたのよ!」


「人類の技術の進歩に感謝だね。ハイキングすらしたこと無いけど」


「これは大丈夫よね?」


「備考になんの効果も記載されてないなら大丈夫じゃないかな」


「・・・・うーん、べつにマイナス効果は無いみたいね。じゃあ、靴はこれにしよう」


「選んだ決め手は?」


 メアリーは嬉しそうに足を1歩ドンと出して言った


「踏みつけの攻撃力が上がるそうよ!」


「おっかない事を嬉しそうに言うね・・・。戦闘では重要かもしれないけどさ」


「でもまだ試したいののがあるし、一通り着てから決めるわね。次は何を着ようかな~♡」


 そうしてメアリーはまた次から次へと装備を試着していったのだった

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