第22話 乙女は見えない所にこだわる

 次の日、メアリーはショウのオススメのネットカフェに一緒に行き登録を済ませ、予定より数時間早くログインし、町中のチェックポイントに現れた


「よいしょっと、入れたよショウ」


「どう、ネットカフェのPCを使った感想は?」


 メアリーは


「うーん、何時もと同じ風景なのにPCが違うと変な感じ」


「そのうち慣れるよ、さあ防具やに行こうか、何時までも盗賊装備じゃ気まずいでしょう」


「やっぱゲームでも身だしなみを整えないとね…。この装備も結構気に入ってるんだけどなぁ」


「いや、メアリーはもっとかわいい服着た方が良いと思うよ! うん!」


 詰め寄って来たショウをメアリーは押しのけた


「顔が近い近い! ところでショウ、アバターの色を変えるのにはどうすればいいのかしら? 茶色とかもっと普通の色に染め直したいんだけど・・・」


 メアリーの言葉を聞いてショウはメアリーの肩を掴んで、血走った真剣なまなざしを向けた


「そのままの色で良いと思うよ! むしろその色でいてください!」


「う、うん…、わかった、そうする」


 今度はメアリーもショウに逆らえなかった・・・。そして二人は防具屋の中に入る


「いらっしゃいませー」


 笑顔の防具屋の店員を見てメアリーはつぶやく


「あ、女性の店員さんだ。RPGの防具屋だから渋い職人だと思ってたのに」


「この時間帯はこの女性店員なんだぁ~♡ ね、このかわいいでしょ」


「そんな店の店員にまでこだわらくても・・・」


「良いから良いから。さあ、店員さんに話そう」


 メアリーは防具屋の店員に話し掛けた


「すみません、防具を買いたいのですが」


「はい、お客様のステータスですとこちらのカタログの商品になります」


 メアリーは防具屋のカタログを渡された


「これで注文するのね」


「はい、お買い求めの際はカタログのご希望の商品選択し、私にお渡しください」


「わかりました」


 店員からカタログを受け取り後ろを振り返ると、ハイテンションなショウが居た


「さあ、メアリー! 更衣室は確保したよ!早速色々試着してみよう!」


「よ、用意が良いわね・・・」


 メアリーはショウにあきれながらも更衣室へと向かった


「メアリー、カタログの目次からカテゴリーを選んで気になった服の写真を押して試着してみて!」


「さっきからテンション高すぎるわよアンタ!! ・・・・こうすれば、いいのかな?」


 メアリーは適当な服を選んで試着を選択した


「キラキラン」


 すると今着てる服が光ってカタログの服に切り替わった


「盗賊の装備に切り替えた時と演出が違うのね」


「装備ごとに来た時に出るエフェクトが違うよ。メタな事言うとロード時間をごまかす為の演出らしいけどね。気になっる装備が有ったらドンドン試そう!」


「そうね色々着てみましょう」


 メアリーは装備を次々と試していった


「魔導士の服セット!ファンタジーなんだから一度は試したいわよね! けど、なんかダボダボね」


「能力的に見ても魔法をまだ覚えてないメアリーには合わないかもね」


「ん、ちょっと待って、このミニスカートを試してみよう!」


   「キララン」


「おお!魔導士のローブにミニスカートですとな!」


「あらやだ生足! アハハ!リアルじゃこんな格好せったい出来ないわね!」


「う~ん、ローブで上半身が隠される事で足の魅力が際立ちますなぁ~」


 ショウはいやらしい視線をメアリーにむけ悶えている


「そんないやらしい目で見るな、エロ王子! うーんブーツ系は何か良いのないかしら?」


    「ガキンッ」


「戦士のブーツと鉄のスネ当てかぁ・・・、あえて重い金属をアクセントに加えるのも悪くありませんな」


「背の低いモンスターの攻撃を防ぎたいからね。攻撃された部位に付けた防具の防御力が高い方がダメージが減るんでしょう?」


「そうだね、地面にあるトラップに引っかかった時のダメージも減らせるし。だけど足を重い装備にすると機動力がグンと落ちるから、戦闘に慣れた人は足の防具は軽したりするよ。メアリーは戦士だから筋力的には問題ないだろうけど」


「へ~、装備の特性も考慮しないいけないのか、奥が深いわね。取りあえず丈夫なのにしよう」


「足の防御力を上げたいメアリーさんにオススメの防具はあるよ~」


「どれどれ?」


 ショウはカタログを指差して言った


「ズバリ!このチェーンタイツですよ!」


「鉄の網タイツゥ!? こんなの着たら動けないでしょ」


「そこはゲームだから柔軟性抜群さ! インナーとしても装備できるから服の下に仕込む様にできるよ」


「あまり装備をごっつくしたくなかったし、これいいわね。 今の装備で試着するとどうなるのかな・・・」


  「ジャラジャラ」


 メアリーは試着した装備を見て変な笑い声をあげた


「おほほほ、生足の上に金属の網タイツ直履きですと! ヤバイ!この見た目はヤバイ! アハハハ!」


「インナー系は面白いのが多いよ。かの有名なビキニアーマーとか」


「そのインナー装備のまま戦えたりするの?」


「もちろん、インナー装備愛好家の個人ギルドもあるくらいだからね。プレートフンドシを露出させつつ、上半身は重厚なフルプレートで身を固めた集団とか」


「変態の集まりじゃん!ははは! さて、もっと軽そうなインナーは無いかな? どうせならインナー以外全部脱いじゃおう、えい!」


 そうしてメアリーは次々と装備を試着して40分かけて選んだ結果、ある程度方向性が決まった


  「ギュ!」


「こ、これは!?」


「やっぱ機動力と防御力を両立させるべく、軽くて丈夫なレザー系が良さそう」


 メアリーは黒のレザーボンデージのインナーセットを試着した。ショウは狼狽えている


「本気でそれにしちゃうの!?」


「ええ、カラーリングもいろいろ選べるみたいだし、白いのを装備して上に服を着れば普通に見えるんじゃないかしら? この装備なら首元や腹回りも守れるしね、胸元が開いちゃってるけど」


「本当にいいのかなぁ・・・・。ねえメアリー」


「なによ?」


 ショウはメアリーの肩を叩いて優しくこう言った


「カワイイは正義だと思わない?」


 それに対してメアリーは力強く言う


「力こそ正義、おしとやかさの中に力強さを秘めてこその乙女道よ!」


 ショウは何かを諦めた


「そうですか、さすが体育会系・・・」


 死んだ目のショウにメアリーは笑いながら言った


「えへへ、そうなの☆ だからリアルではあまり動きにくい服は性に合わなかったんだけど、実はこういうファッションにちょっと憧れがあったんだ」


「そんな秘めたご趣味をお持ちだったのデスネ・・・、メアリーさん」


「ゲームだと人目はあまり気にならないし動きにくいって事が無いから良いわあ。早速白を試着しよう」


 メアリーは白ボンデージセットを試着し満足そうに鏡を見た


「うん、思った通りの色ね。さあて、服を選ばないと・・・・」

 

 メアリーを見たショウは1人もだえて自分と戦っていた


「うおお! 僕にまた属性が追加されそうだああ!!」

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