第21話 馬に揺られて

 ギルドルーム内で乗馬を習っていたメアリーは鳩鳥のハムスターバイクとレースする事になるが、メアリーの馬のスピードが出ず二人は走りながら雑談していた


「行け―! ハイよシルバー!」


「コツは掴んだみたいだなメアリーちゃん」


「ええ、だけどもっと早く出来ない? 何度蹴ってもショウの馬ほどの速さが出ないんだけど!」


「レベル不足だな、ショウは乗馬系のステータスを上げまくってるはずだし仕方ないだろ。でもこうして早い乗り物に乗って走るのも楽しいだろ」


「ええ!気に入ったわ!目線が高くて景色見るのにもいいし」


「マップを使ってマーキングすればその場所までオートで移動してくれるぞ。切り替えてみるか?」


「うん!やってみる!」


 メアリーはマップを開きオートモードを直感で大体操作し運よく成功した。鳩鳥はメアリーの乗る馬の様子が変わり操作が成功したのに気づいてさらに説明をつけ足した


「お、成功したな。走った状態でオートにすればスタミナが減り過ぎない程度のスピードで走ってくれる。歩きたい場合は一度止めてからまた軽く腹を蹴って歩かせればいい」


「自分の馬を持つにはどうすればいいの?」


「メインクエストをある程度進めれば乗馬訓練のクエストが出る、それをクリアすれば手に入るぜ! ショウのサポートが有れば直ぐ行けるんじゃないか?」


「アイツ、回復薬はたくさん持ってくるけど、極力サポートはしない様にしてくるのよね・・・。私が楽しめる様にとは言ってるけどねぇ」


 鳩鳥はメアリーの話を聞いて何かを考えこみながら呟いた


「うーむ・・・、ゲームってのは序盤の試行錯誤が一番面白いからな、分からないでも無いかな。やりれる事を見つけて、やりたい事を見つけ、楽しいと思ったら一直線に進んでみりゃいい、それで嫌になったら止めて別の楽しみ方を模索する。そうやって好きに遊ぶのが楽しいな俺も。メアリーちゃんもやりたい事見つけて手伝って欲しけりゃ遠慮せず言いな遊びゲームなんだしよ、面白そうなら手伝うぜ」


 鳩鳥の言葉を聞いてメアリーはぼやく


「わー、学生時代に誰かにそう言って欲しかったなぁ」


「セリフがクサかったか?」


 照れ臭そうにする鳩鳥にメアリーは甘える様に言う


「そんな事ないよハト父ちゃん」


「誰が父ちゃんだ!」


「じゃあ兄貴!」


「兄貴もやめろ!」


「え~、兄貴もダメなの・・・・。まさかハトちゃんて女!?」


 メアリーん言葉に鳩鳥は黙り込んでしまい


「・・・・・」


「え、まじ・・・・・?」


 しかし鳩鳥はメアリーの方を向いてニヤリと笑ってこう言った


「教えねえよぉ~だ」


「あ!誤魔化す気ね!ホントは男でしょ! ん?ちょっと待ってそれだとショウはハトちゃんと二人っきりでカンピンギカーを・・・ッ!? あぁ~!どっちなの~~ぉ!!」


「フハハハ!悩め悩め!」


「この~!乙女心をもてあそんで!」


「その事もどうだかなぁ~、俺には確かめる術は無いしなぁ~・・・。ハハハハ!それでいいじゃねえか、お互いによ」


「む~! あの動画もっとよく見て行くんだったぁ~ッッ!!」


 動揺するメアリーを鳩鳥がからかいつつアンファング本拠地の塔に向かって走っていた


「とうちゃーく! 俺の勝ちだなメアリーちゃん」


「どの道、レベル差で勝負になんないじゃない! ハトちゃんの意地悪!」


「アハハ! そう怒るなよ」


 喧嘩する二人に塔に到着した二人に、ある人物が呼びかけた


「メアリー!ハクさ~ん! 会いたかったよー!!」


 疲れた声で語り掛けるショウにメアリーは駆け寄った


「ショウじゃない! 今日中に帰れたの!」


「残業頑張って終わらせた! でも家まで帰るのが面倒だったから今ネットカフェからアクセスしてる」


 ショウの言葉を聞いて鳩鳥は提案する


「お、じゃあ酒場で奢ろうか、明日休日だろ?」


「いいねぇ、ネットカフェ久しぶりだしそうしようかな」


 鳩鳥とショウの会話にメアリーは割って入りだだをこねた


「ちょっと!私は家なんだけど、仲間外れにする気?」


 鳩鳥はメアリーに言う


「今から近場のネットカフェに来いよ、車持ってるなら直ぐだろ」


「ネットカフェって登録しなきゃならないんでしょ、面倒だし今日は疲れてるから家から動きたくな~い!」


「あちゃ~、ネットカフェも未経験なのかメアリーちゃん」


 ショウがメアリーに少し心配そうに話し掛けた


「メアリーもしかしてゲーム疲れ?」


「多分それかな? 運動した疲れともデスクワークの疲れとも違うなんか変な感じ」


「昨日無理させすぎちゃったか。もしかして僕を待ってた?疲れた時は無理せず休んでいいからね」


「大丈夫よ、別に待ってなかったから。ショウこそ今日は休んだら」


「そしたら僕ネットカフェ行き損じゃないか、寝たい気持ちも蛙あるけど少しは遊ばせてよ」


「無理しちゃって」


「メアリーこそ」


 メアリーとショウに鳩鳥が提案する


「それじゃあ俺もバイトで疲れてるし、飲み会は明日でいいか? 明日の夜7時くらいに集合ってことで」


「賛成! そうしようハトちゃん」


「僕もそれが良いかな。おすすめのネットカフェに案内するよメアリー」


 二人の返事を聞いて鳩鳥はうなずいて、外に置いてある休憩用の椅子に座って言った


「よし、じゃあ明日な。もし暇ならこのまましばらくここでだべろうや」


 羽鳥を見てショウも頷き、メアリーに聞いた


「そうだね、メアリーはどうする?」


「私も話したいけど・・・、正直もっと馬にも乗りたいかな?」


 メアリーの言葉を聞いてショウは提案する


「気に入ったんだ乗馬。それならオートモードにしてこのギルドルームをわまりながら話そうよ。ネットカフェのPCは乗馬するとちゃんと揺れるから僕も久しぶりに乗りたいな」


 ショウの言葉を聞いて鳩鳥は立ち上がりながらメアリーに言った


「お、それなら俺のバイクの後ろに乗ってみるかメアリーちゃん、馬とはまた乗り心地が違うぜ」


「噛まれるから嫌、それにダサい」


「俺の自慢のネタバイクはうけなかったかぁ・・・、ハムスターってのが安直過ぎたか? もっとディティールにこだわって・・・」


 1人で何やらブツブツ言っている鳩鳥を放っておいて、ショウがメアリーに話し掛ける


「じゃあ馬を呼ぶから、メアリーは僕の後ろに乗る?」


「ううん、ハトちゃんの馬に乗る。今日操作法教わったんだ」


「へー、そうなんだ。オートの使い方も教わった?」


「ええ」


「それなら同じようにマップで僕の馬をマーキングすれば合わせてついて行くからマーキングしておいて」


 メアリーは元気なモーションで返事して、鳩鳥に言った


「了解! ハトちゃんの馬貸して~」


「いいぞ!乗れ乗れぃ」


 三人はしばらくそれぞれの乗り物に乗りながら、しばらく談笑した後解散した

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