第20話 リアリティは出し過ぎてもいけない

 メアリーはギルドルームの農場を鳩鳥に連れられて散歩していた


「ほらメアリーちゃん、あれが動物小屋だよ」


「広い農場を歩いてたら地平線の先から現れてたわね。地平線の先が近い・・・、地球ってこんな小さかったけ?」


「おう、メアリー、ゲームの世界で物理法則なんて気にしちゃいけない。今は動物と戯れようじゃないか」


「そうね。それでどんな動物が居るの?」


 鳩鳥は大きな鉄扉の小屋の中にメアリーを案内した


「ここが戦闘用の動物体が居る闘獣小屋だ!」


「うわ! モンスターがいっぱい!」


「テイマーのスキルが有れば小型のタイプならフィールドに連れていけるんだ、どうだい?」


「ごつくて可愛いのが居ないから嫌」


「ええ! あっちのなんか可愛くないか?」


「隣に居るヤツの威圧感が凄すぎて、可愛いとかの感想全部吹き飛んじゃうわよ!」


 小型のキツネ様な見た目をしたカワイイモンスターの両隣に居る、開いた口だけで1メートルを超える様などう猛そうなモンスターを指差しながら言うメアリーを見て、鳩鳥は残念そうに言う


「うーん、メアリーちゃんにはここは合わなかったか・・・。可愛いのだけ小屋から出すわけにもいかないし・・・、間違って噛じゃったら大変だしなぁ」


「噛むんかい!」


「低レベルのドラゴンなら一噛で倒せるぜ!」


「いやいや! ハクさんは大丈夫だろうけど、こんな危ないところから早くここから出ましょう!」


「見るだけなら安全なんだがな・・・・。しかたない、次の小屋に行こう!」


 次に向かった小屋は幅が広く牧草地と繋がった小屋だった


「ここは?」


「家畜小屋やだ、ここなら人畜無害! と言ううより家畜その物だから安心だろ」


「あの羊みたいなの可愛い!」


「撫でてもいいぜ、中に入ろう!」


 鳩鳥はメアリーを家畜の中に案内した


「うわー!子豚ちゃんも居る!」


「本物の家畜小屋と違って動物臭くないから思う存分愛でられるから俺も気に入ってるんだ」


「動物小屋って臭いって聞くけど、そんなに臭いの?」


「メアリーちゃん動物に触ったこと無いの?」


「うん、野良猫ぐらいしかないなぁ」


 メアリーの話を聞いて鳩鳥はしみじみと語った


「そうか、ルー爺が言うには昔はよくあったらしいが、今じゃ小学校にも動物小屋は無いからな。俺、農家の手伝いとかした事あるけど、臭いぞ色々と」


 メアリーは豚の頭を撫でながら聞いた


「ああん♡カワイイなぁ畜生共♡ 動物小屋ってそんなに臭いの?」


「ああ、俺でも正直辛かった程だが・・・・、美味かったなご飯」


 メアリーは驚きの声を上げ、鳩鳥のトラウマを抉った


「まさか家畜のエサを!?」


「ちがう! CMなんかで美味しそうにペットのエサ紹介してるが、あれ薄味で自ら食うようなもんじゃないからな!」


「ペット用は食べたのね・・・」


「旅の途中に立ち寄ったコンビニで保存食に出来そうな食糧がそれしか売ってなかったんだよ! チクショウ!」


「大変ねぇ・・・。所で家畜小屋って事は食べたりするの?」


「ゲーム内で食べれるのはもちろん、有料でリアルの自宅に肉を届けてくれるサービスもあるぞ」


「リアルって明らかに現実には存在しない動物も居るんだけど??」


「合成肉だよ。高いからあまり人気無いけどな」


「可愛がって育てた動物が、合成肉となって自宅に届いちゃね・・・。ゲーム界の闇を感じるわ」


「そんじゃあ。一通り見てまわったら次行くか」


 鳩鳥が次に言った小屋は見るからに馬小屋だった


「ここにはどんな動物が・・・って、馬小屋だから馬よね」


「ちっち、馬小屋と言ってもここは乗れる動物全般が居るからね。楽しめると思うよ」


「へー、ユニコーンとかいるかな?」


 馬小屋の裏に向かい、鳩鳥は扉の前に立つ


「この扉の先が俺の持ち小屋だ! 他のプレイヤーの小屋はロックされてるからな」


「なんか初めに案内さっれた小屋より警備が厳重の様な・・・」


 鳩鳥はメアリーの呟きに気づかず案内を続ける


「そこでここで俺の自慢は、・・・このバイクだ!」


 鳩鳥は自慢げにプラスチック風のバイクを取り出した


「動物じゃなくてバイクじゃないの。救援に来てくれた時に乗ってたのとは別の種類みたいだけど」


「焦るな焦るな! ほら、ハイヤの所をよく見てみろ」


 メアリーは言われるままバイクの金網風のタイヤを覗いてみる


「え、タイヤの中にハムスターが居る!」


「そう! このバイクはデスハムスターを動力源にしてんのさ! どうだこのカートゥーン風のコミカルなデザインもそそるだろ、俺が部品集めて作ったんだ」


「何と! こんな事も出来るのね。あはは~、可愛いハムちゃん」


「ハハハ、可愛いからって油断するなよ、こう見えて凶暴だからな。慣れない調教師テイマーのクラスでレベル100まで苦労して育てて・・・・」


「ガブッ」


 メアリーはタイヤの中に指を入れたらデスハムスターに齧られた。メアリーは指先に293ダメージを受け倒れた


「うっ!」


 ”冒険者メアリー・アプリコット、アナタは力尽きてしまいました。チェックポイントで復活しますか?”


「メアリーちゃん、なにやってんの!?」


 メアリーは鳩鳥にアイテムで蘇生させられた。メアリーは起き上がり胸をなでおろす


「あー、びっくりした」


「それはこっちのセリフだ!」


「何で噛むのよ、しつけがなってないわね」


「一部のモンスターは飼いならしても甘噛みする種類が居るんだ。まさか即死するとは俺も思わなかったよ」


「甘噛み程度でこの威力!?」


「乗せてやろうと思ったがコイツは危険だな。シンプルに馬にしよう。乗馬は出来るか?」


「ショウの後ろに乗せてもらっただけで、馬に乗ったりはした事ないわね」


「じゃあ操作法教えるから表で乗ってみろよ。俺はこのバイクで追いかけるからよ」


「あ、それ楽しそう! ・・・だけど、その馬甘噛みしないわよね?」


「高レベルの馬だが、下手に低いレベルの馬だと後ろに立つだけで蹴られるぞ」


「何それ!?」


「本当の馬にはそう言う習性があるらしくてな、それをゲームの開発者が再現したらしい」


「変な所でリアリティ出してどうするのよ、まったく・・・」


 二人は外の広場に出た


「さて、馬を引いて歩く操作は大丈夫だなメアリーちゃん」


「ええ、これ位は平気よハトちゃん」


「じゃあ馬の側面に立ってサドルに触れてみな」


「サドルって?」


「座る所」


「ああ、ここね」


 メアリーが馬のサドルに手を触れると、アバターが自動ね馬に上に乗った


「そのまま左のフットペダルを軽くたたく様に踏むと馬が進む」


「こうね」


 鳩鳥の言う通りに操作すると、メアリーのアバターは馬の腹を軽くける動作をして、馬はゆっくりと歩きだす


「それで曲がりたい方向の手綱を引くとその方向に進むからやってみろ! 両方の手綱を引けば馬は止まる」


「わかった!やってみる」


 メアリーは馬小屋前の広場の中をグルグルと歩き回って進んだ


「上手いじゃないかメアリーちゃん」


「ありがとう。ねえ走るのはどうやるの?」


「歩かせる時の様にフットペダルを強く踏め!塔まで競争だ!」


 鳩鳥はハムスターバイクに乗り走り去っていった


「ちょっと待ってよ! はいや!」


 メアリーも馬を走らせ後を追いかける

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