第18話 草木に触れ土と戯れよう

 鳩鳥と別れてから翌日・・・


「いい天気ねぇ」


「そうだな、デジタルだが出来がいい」


 メアリーは鳩鳥とギルドアンファングの庭でボーとしていた。その庭に座る二人の前にルーシーが現れた


「あらメアリーとハクマじゃない、ごきげんよう」


 ぺこりとお辞儀するルーシーに対して、ショウと鳩鳥は挨拶を返した


「ごきげんようルーシー」


「お庭にお邪魔してるぜ、ルーお嬢様」


「なんか珍しい組み合わせね。ショウを通じて知り合ったの?」


「まあ、そんな感じ」


「共通の知り合いだったから会話が弾んでな」


「ふ~ん。ところでその共通の知り合いはどうしたの?」


 ルーシーの質問にメアリーは疲れた声で答えた


「実は会社でヘマして今残業中、今日は多分来ないかも」


 メアリーの話に鳩鳥は気まずそうに言った


「まさか・・・、俺が遅くまで酒場に引き留めちまったのが原因か?」


「いいえ、だたのアイツのドジだから、ハトちゃんは気にしないで」


「そうか。でも次来たらお疲れ様ぐらい言って労ってやるか」


「おごりもまだだしね」


「だな」


 ルーシーは姿勢を正して言った


「それじゃあ私は素材集めに出かけてくるからもう行くわね」


「はい行ってらっしゃい」


「直ぐにその素材がドロップすると良いな」


「ではまた」


 ルーシーは別れを告げてどこかに飛び去って行く。その光景を見たメアリーは呟いた


「ルーシー飛べるんだ・・・、ジェット機みたいに」


「ルーシーの種族は種族スピーシーだからな、サイボーグみたいなもんだから、作ったアイテムを体内に仕込めるんだよ」


「ふーん、楽しそう」


「製作系は制作作業が面倒らしいぜ。初心者にはオススメしないな」


「そっかぁ・・・」


 ボーっとしていた鳩鳥はメアリーの方を向き話しかける


「こんな所でボーっとして、何かしたい事ないのか?」


「装備整えにお店に行く予定だったけどショウと行きたいし、疲れちゃって戦闘するのもだるいのよね・・・」


「戦闘はけっこう体力使うからなぁ。俺もバイトで疲れてあまり動きたくない感じだ・・・。ああそうだ」


「なに?」


「農場に行こうと思うんだが、よかったら一緒に来ないか? その気が有るなら畑も貸してやるぜメアリーちゃん」


「もしかしてショウが言ってたデジ農?」


「おうよ、土地を振り分けてやるから。稼いだ分はお前の取り分にして良いぜ。無事に育てられたら現物も輸送サービスで受け取られる。畑の使用料はギルドで一括で蛙払ってるからな」


「なんか悪いわね」


「気にすんな。そんな力入れてるわけじゃ無いし、ほとんどの作業はサポートユニットがやってくれるから、何か育ててくれればマイナスにはならないさ」


「ハーブや野菜でも?」


「ああ、そんくらいの小さいヤツなら畑のスペースも小さくて済むから初心者にオススメだな、そんな大きい畑をやるつもりはないだろ?」


「ええ、お願いしていいかしら」


「もちろん、さあ行こう」


 鳩鳥がピーっと口笛を吹くと、どこからか馬車が現れる。二人はその馬車に乗り、鳩鳥は御者に行先を伝えた


「俺の農場まで」


「かしこまりました」


 しばらくするとギルドルームの庭に2人はたどり着いた


「ひろーい! こんな畑が広いなんて思わなかった! 地平線!地平線が見えるわよ!」


「気に入ったかいメアリーちゃん。じゃあ今から畑のスペースを作るからそこで待ってな」


「はーい」


 鳩鳥が掲示板の操作すると、メアリーの目の前の畑の作物が謎の生き物により刈られていった


「初期化完了っと」


「ちょっとハトちゃん!? 畑の物がごっそり無くなっちゃったけどいいの!」


「そんな驚くなよ、育ててた野菜もいい感じだったから売りに出しただけだ。収穫作業が終わるまでもうちょっと待ってな」


 しばらくすると一定の区画の作物が無くなり、何も無いスペースが出来た


「あんなに有ったトウモロコシがなくなっちゃったわね・・・」


「いっぺんに刈られていく様はいつ見ても気持ちいいぜ! さあ、フリースペースが出来たからこっち着て登録して」


「ええ分かったわ」


 メアリーは掲示板の前まで行き、地図の空いているスペースを押して選択した


”この場所をメアリー・アプリコットの土地として登録しますか?”


「はい」


 現れたメッセージに答えると、メアリーの目の前に先ほど作物を刈り取っていた謎の生き物と同種の生き物が姿を現した。丸みを帯びたずんぐりとした体形に麦わら帽子を被っていて小さな丸い点の目をしている


「新規契約ありがとうございます!」


「謎のクリーチャーが喋ったあああ!」


 メアリーは驚きながらも剣を引き抜くと、鳩鳥はその剣を持つ手を押さえ止めた


「こらこら、攻撃しちゃダメだって!」


「ご、ごめんなさい、戦闘のクセがまだ抜けてないみたいで・・・」


 その謎クリーチャーは攻撃されかけたにもかかわらず、メアリーに笑顔で語り掛けた


「ご心配なくメアリー様、ワタクシは貴女様の快適な農作業をサポートするマスコットキャラクターのデイジー・ファーモです。危害は加えませんのでご暗視を☆」


「その笑顔が、危害を加えようとした私に良心に刺さってくるんだけど・・・」


「さようですか・・・、なら無表情になります」


 ファーモは言ったとおり無表情になり、メアリーは慌てて訂正した


「ホントに無表情になった! ごめんごめん!私の為に笑顔を捨てないで! 笑顔見たいな!ねえ笑って!」


 メアリーがそう言うとファーモは元の笑顔に戻った


「そうですか!ではそうします!」


「AIは冗談が利かないから、こういうのが厄介ね・・・」


「冗談だったのですか! メアリーさんは面白いですね」


 ファーモの笑顔に再びメアリーは動揺した


「おう…、眩しいまでの愛想笑い・・・・、また罪悪感が・・・」


「アハハハ!」


 しかしメアリーの態度を見ても、冗談と認識したファーモは今度は笑うだけで自重しなかった。そのやり取りを見た鳩鳥は感心したように頷いた


「デジ農のマスコットだけでこれだけ遊べるとは、流石ショウちゃんの同僚だ、エンターティナーだねぇ」

 

 鳩鳥の反応を見てメアリーは反論する


「ちょっと!私はピエロじゃないからね!」


「テニス部のロースだったんだっけ?」


「エースよ!」


「ははは! そうかテニス部のエースだったのか! そっちは初耳だな!」


 二人がそう話していると。ファーモがメアリーに話しかけて来た


「あのー、お手続きを進めてもよろしいでしょうか?」


「あ、ごめんなさいファーモちゃん!」


「いいえ! かまいません☆ よろしければデジ農を行う上でのチュートリアルを行ないます。よろしいですか?」


「ええ、お願い」

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