冒険しなくても楽しめる

第15話 酒場にて、メアリーの生態

 鳩鳥の救援もあり無事に帰還したメアリー達は鳩鳥に連れられて酒場に居た


「ほら、飲め飲め! 何なら今日は俺が奢ってやるぞ」


 鳩鳥の言葉にショウは呆れたように言った


「僕達は今自宅、ネットカフェじゃないよ」


「ええ、そうなのか。じゃあ奢るのはまたの機会だな」


 メアリーは首を傾げて聞いた


「ショウ、奢るってなに?」


「連携してるネットカフェ同士なら、ネットで一緒に遊んでる他のプレイヤーにネットカフェのメニューを奢る事が出来るんだよ」


「えー!何それ楽しそう! たしかネットカフェの食事ってゲームと同調させられるんでしょ。ハットリさんの今食べてる食事ってリアルでも食べてるの?」


「そうだよ。電子チップの入った食器の動きと重量を読み取ってゲーム内の動きに反映させてるんだ。ネットカフェも行った事ないのか?」


「今日ショウから初めて聞いて、行こうかと話してたんです」


「おお、そうか初々しいね。敬語はいいぞ、俺はこんなキャラだからな、メアリーのキャラがそう言うキャラって言うなら止めないけどな。名前も呼び捨てなり適当なあだ名に呼んでくれると嬉しいね」


 メアリーは鳩鳥の言葉にうなずいて口調を変える


「わかったわ。じゃあ・・・、ハトちゃんで」


「はいよメアリーちゃんや」


「みんな作ったキャラクターを演じるのにこだわりがあるのね」


「暗黙のルールみたいなものさ。演じてればリアルばれし難いしな」


「あ~、そういえばゲームでショウと合った時に仕草で何となく分かって可笑しかったな」


「それが逆にリアルであったらまずいだろ?」


「うわぁ、それはやらかしたくないわね。・・・・なんかハトちゃんが美味しそうに食べるからインスタン温めちゃおう」


 メアリーの言葉にショウはツッコミを入れた


「また食べるの!?」


「・・・・・」


 しかしメアリーの返事はなかった


「もう居ないし!」


「本当にお腹減ってたんじゃないか?」


「いやいやハクさん、ちょっと前に食べたばかりだよ!」


「更年期障害か?」


「そんな年でもないって!」


 メアリーが戻ってきたようでアバターがまた動き出し、鳩鳥が話しかけた


「ただいまー」


「おかえりよ、メアリーちゃん。何作って来たんだ?」


「レンジでチンのインスタントよ、パンケーキとベーコンとハッシュドポテトののブレックファストセットにビールでがっつりですよハトちゃん」


「食うねえ~。こっちからは全然見えないけど」


 メアリーにショウが話しかけた


「メアリーってさ、会社でも外食でもそんな食べないよね。どうしちゃったの?」


 ショウの質問に対してメアリーはぶっきらぼうに答える


「朝は準備でインスタントでも作るのがだるい! 昼間は仕事で疲れて食うのも疲れる! 疲れて帰って食べた夕飯からちょっとたった時ぐらいが一番お腹が減る!」


「うわー、メアリーの知られざる生態があきらかに・・・、でも他の同僚や友達と遅く外食する時もあまり食べてなかったよね?」


「ぶっちゃけますと人前で食事するのも、な~んかダルくて食欲が失るのですよ、このメアリーちゃんは」


「実はけっこうインドア派?」


「ううん、一人だと暇する。ネットで動画見ながらボーとするだけなのは辛いです」


「お、おう…、人付き合い良いもんね。今もこうして僕とやった事も無かったゲームに付き合ってくれてるし・・・・、なんで?」


「ショウさんや、友情と食欲は別なのよ!」


「その心は?」


「例えば休日にみんなでケーキを食べに行ったとする」


「うん、行くね」


「そこでみんなケーキを一切れ食べてる中あたしだけ3つ食べてたらどうよ?」


「食べたかったんだ3つ」


「うん! 3つ頼んで食べ比べしたかった! 三つの味を紅茶ストレートで洗い流しながらいい塩梅で楽しみたかった! でもそんなその場を乱す食べ方は許さない! 食欲が許しても私の何かが決して許さないのよ!」


「まぁ、分からなくはないけど、ケーキバイキングの時は?」


「席を外してお代わりしている間に話題が飛ぶのがいや」


 黙って聞いていた鳩鳥も会話に加わった


「じゃあ席まで持って来てくれる焼肉はどうなんだ?」


「それは別の問題があってね」


「別の問題?」


「ええ・・・、私ってロース好きじゃん。ねえショウ」


「よく頼むね、あとハラミとか」


「うん、それで学生時代にロースいっぱい食べてたら部活の後輩に…、さすが先輩!本気の食い方ですね!って言われたの・・・・。筋肉つける為に食ってる訳じゃ無いっての!好きだから食ってるんだよ!」


 ショウと鳩鳥はこう反応した


「そう言えばメアリーってテニス部だったて言ってたっけ。スポーツ系の部活じゃあね」


「うわ、ソイツはご愁傷様。女子の運動系の部活も大変なんだな・・・、てか女子テニスでいいんだよな?」


 熱くなったメアリーは話を続けた


「しかもソイツやる気は有ってもどんくさくて練習試合ではいつも私に負けるし! しまいには次の焼き肉の時も私の食べ方マネするのよ! 苦しそうに食いやがってあの小食め! 悪い子じゃないから余計にたちが悪いわ!!」


 ショウと鳩鳥は憐みの視線をメアリーに向けている


「後輩小食だったのかぁ・・・」


「小食っていうか先輩のへの尊敬通り越して勝てない劣等感によるストレスで胃がダメになったんじゃねえか? 俺も似た経験が・・・」


 鳩鳥のこの言葉にメアリーが反応した


「ハトちゃんまさかその子だって言うんじゃないでしょうね!!」


「違うぞ! 俺はアクション映画研究会だ!」


 ショウは鳩鳥の答えにツッコんだ


「それ運動系じゃないじゃん」


「映画のアクションをインストラクターを呼んで教わったり、身体づくりの為にボディビルやったりのバリバリの運動系だ!」


 メアリーも静かに鳩鳥にツッコミを入れた


「でも内容はオタクっぽいわね」


「うるせえ! これでも体重が80キロ超えるまではけっこう女子にモテたんだぞ!」


 鳩鳥の訴え虚しく、メアリーはまた焼き肉の話題に話を戻した


「とにかく! それからと言うもの、しまいにはテニス部全体でその食い方になって馴染みの焼き肉屋に行こう物なら、テニス部の方々ですね~取りあえずロース10人前でよろしいですかぁ~? とか聞いて来るのよ! あり得ないでしょ!」


 ショウは呆然とした


「なにその要らないカリスマは・・・」


「ホントに要らないわよ!」


 荒ぶるメアリーを鳩鳥はなだめる様に話しかけた


「いやまあ、アレだ! 俺達はそんな事しないで勝手にやるから安心して好きに食べな、なんせウチのギルド個性の塊の連中が多いからよ」


「うん! このプライベートは保たれつつ人と会話できる空間最高♥ このゲームやってよっかったかも」


「それは良かったな、新しい趣味が見つかって。なあショウいい友達見つけたな」


 鳩鳥に話し掛けられショウはぼやく様に小さな声で言った


「ある意味、誘っちゃいけない人だったかも、まさかこんな本性を持っていたなんて。のめり込み過ぎないと無いといいなぁ・・・」

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