第14話 救援

 ギルドからの救援を得たメアリーとショウはそのメンバーから通信を受けた


「来た!救援からの通信!」


 メアリーの声を聞いて通信して来た男は少し考え込む様な声で話かけた


「ん? はじめまして・・・だよな?」


「はい!メアリー・アプリコットです。昨日入ったばかりで」


「昨日?新人さんとは珍しいな! 俺は鳩鳥・白馬だ、よろしくな。とは言ってもお互い名前は見えてるけどな、ハハハ!」


「ハットリ・ハクマさん? 珍しい字ですね」


「よくある名前だから普通に書くと他のプレイヤーとダブちっまて審査通らないから工夫したんだよ。レベル低いが、それセカンドキャラか?」


「いいえ、リアルでショウに誘われて、このゲームはじめたのも昨日なんです」


「ほ~、俺の名前に対する反応からするにネットゲームも初心者?」


「はい! ゲーム自体もほぼ初心者です」


「わお、ショウちゃんまた珍しいの連れて来たな。初心者にはこのゲーム難しいでしょ、ショウに口説かれたか?」


「いやぁ、リアルでのショウに口説かれるとかないわないわ~。だってアイツ・・・」


 ショウはメアリー達との会話に割り込んだ


「メアリー! 人のリアルを勝手に喋るのはマナー違反じゃないかな!」


「あ、ごんなさい」


 鳩鳥はショウの言葉にに首を傾げた


「別にいいじゃねえか、俺とショウはリアルであってるんだし。芋っぽいって事だろ? 別に悪い意味じゃなくよ、可愛いと思うぜ」


 鳩鳥の言葉にメアリーも首を傾げた


「芋っぽい? なにそれ? 大学芋的な感じ?」


「大学芋ってなんだよ? そのまんま田舎っぽいって意味だが?」


「いやいや!嘘でしょ! 芋って聞いてテカテカしてる感じが大学芋かと・・・」


「テカテカ? え、なんだそれ?」


「だって化粧が濃いじゃん。会社でもそうだし、プライベートなんか別路線でこう・・・、スイートポテトにハチミツと生クリームぶっかけて、アイスクリーム屋の全集類をデタラメニぶちまけたような・・・・」


 二人の会話に頭を抱えながら耐えていたショウは、ついにキレた


「メアリー!例えが酷過ぎない!? それに2人とも芋から離れよう! 人を根菜がベースみたいな言い方してさ!!」


 ショウの訴えもむなしく、二人の会話は続行されてしまう


「根菜か・・・、白馬に乗った王子様じゃなくて練馬の王子様だったのね」


「練馬の大根様ってか? 色白なのは認めるがあの脚線美は大根と言うには・・・」


 ショウは会話に耐えきれずメアリーを掴んで叫んだ


「うわー!! 二人ともこれ以上余計な事を言うなぁ!!」


「わ!わかったわよもう。ショウに合わせて髪と瞳をこの色にしたのに、もっと普通の色にすればばよかったなぁ」


 メアリーのぼやきに鳩鳥は異様に反応した


「なに、ショウに合わせてどんな色にしたんだ?」


「蛍光色じゃんショウって」


「なんだとぅ?? 直ぐにそっちむかうから待ってろよ! ショウが職場じゃどんな猫被ってるか確かめてたいからな!」


 鳩鳥の通信が切れ、ショウは悲痛な声を上げる


「来ないでハクさん!! あ、通信切れてるぅ!?」


 メアリーは安堵の表情を浮かべた


「正直知らない人に救援頼むのは緊張したけどよかった、ショウとも知り合いで親しみ易そうな人だったし。これで一安心ね」


「何一つ安心できないだけど! メアリーが発注者なんだから今すぐハクさんをキックして!」


「そこまで言うんならショウがなんとかしてよ。この狼に囲まれた状態をショウが打開するか、救援者を待つかの二択なんだから」


「いやだ! せっかくのコーディネートを崩すのは絶対い嫌だ!」


 そんなこんなでもめていると、遠くから破裂音が鳴り響く


「タアアァァァァン・・・」


「なに??銃声?」


「来ちゃったか・・・」


 続いてエンジン音が鳴り響き、段々とメアリー達に近づいた


「ブオオオン!」


「なんかさっきからファンタジーにあるまじき音が聞こえてくるんだけど」


「ハクさんのアバターはアンセスのガンマンだからねぇ・・・。ファンタジーというよりSF系の装備なんだよなぁ」


 しばらくすると、森からメガウルフの群れが飛び出してくる。メアリーは奇声を上げた


「ぎゃああああああ! なに!?こんな一気に来るの!?」


「落ち着こうメアリー、僕達を襲いに来たわけじゃ無いから」


「へ? きゃあわん!」


 メアリーがメガウルフに踏み潰されそうになった時、そのギガウルフは、687ダメージを受け弾けて消えた


「ヤッホー! スタンピードなんざ時代遅れだぜ! さっさと絶滅しなオオカミ共!」


「タン!」「タン!」「タン!」


 つづいて銃声が鳴り響き、ギガウルフ達は次々と倒れて言った


「う~し、雑魚狩りはすんだな・・・、どこだぁメアリーちゃん! ショウちゃんよー!」


 舞い上がった土煙が晴れ、バイクに乗ったライトで光る機械部品を身にまとったカウボーイの姿をメアリー達は発見する


「えっと・・・、貴方がハットリさん?」


 メアリーの呼びかけに対してバイクに乗った鳩鳥が反応する


「お!そこのイカしたピンク髪の嬢ちゃんがメアリーか! え、まじでお前の前ではそんな感じなのか!?」


「髪の色は違うけど、こう…ファッションセンスがね。さっきはありがとう、助かたわ・・・・」


「いやいや、今のは礼はいいって。高レベルのヤツが低レベルのフィールドに行くと、モンスターが今みたいに逃げちまうんだ、アレは俺のせいだよ!すまなかったな!ハハハハ!」


「なんだぁ、そうかぁ。あはははは!」


「ところでショウはどこいった?」


「そういえば居ないわね? どこ行ったのかしら?」


 ショウは倒れたギガウルフの下から這い出して言った


「ここだよ! 僕だって今は低レベルなんだからねハクさん!」


「そんな所に居たのか! はは、ごめんよショウちゃん。 二人とも、俺のバイクの後ろに乗せてやるから笹と帰ろうぜ!」


 メアリー達はクエストを無事完了し、メアリーはレベル11になり、ショウのレベルも2にレベルアップした

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