第10話 ギルドへの帰還

 盗賊との戦闘になりメアリーは薬草を食べながらコレに応戦


「モグゥ!」


”クリア目標を達成しました。帰りの馬車がそちらに向かってますのでしばらくお待ちください”


 ショウの援護もあり、見事盗賊達に勝利しメアリーはレベル2になった


「よし!レベルアップ」


 メアリーはスキル”強撃パワーアタック”を覚えた。パワーアタックにより格闘武器の攻撃力を上げる事が出来る


”使用される場合はショットカットボタンに登録するか、アクションボタンを押しながらスキル名を言ってください。スキル一覧の項目から選んで使用する事も可能です”


「あ、なんかスキルを覚えた! ねえ、どうすればいいのショウ! ショウってば!」


 はしゃぐメアリーとは対照的に、ショウは不貞腐れていた


「回復しなきゃいけないのは分かるけどさぁ・・・、食べながら戦うこと無いじゃんか、はしたない」


「別にいいじゃ無いのゲームの中なんだから」


「僕はゲームの中だからこそカッコイイ自分でありたいの!」


 倒れた盗賊から不自然に大きな袋の様なアイテムが現れて、メアリーはその袋を不思議そうに見てショウに質問した


「なにこれ?」


「ドロップアイテムだね。袋の中に手を入れればアイテムが手に入るよ。プレーヤー別に割り振られるから僕の分は心配しないでね」


「そう? じゃあ遠慮なく。なにがでかな?」


メアリーは80ゴルドと盗賊の剣を手に入れた


「おお、新装備だぁ! さっそく装備しよっと♡」


 ドクロや蛇がモチーフの装飾が施されて凶悪なデザインだ有るものの、刃がところどころを欠けて錆ているボロい見た目の武器を喜々として振り回すメアリーを見てショウは頭を抱えた


「うう・・・、全然女の子らしくない」


 がっかりしているショウに向かってメアリーは首を傾げながら言った


「私ってリアルでもそんな女らしくしてないじゃない、なによ今更?」


「じゃあ!なんでそんなカワイイ見た目にしたのさ!」


「なぜって・・・、幼い頃見てた魔法少女と好きな少女漫画のキャラを合わせた感じで作っただけだけど?」


「じゃんなでその魔法少女が薬草モグモグしながら戦うのさ! 少女南画のキャラが我先にと暴漢に挑んでいくのさ! もっとかわいらしくしようよ!」


 熱弁するショウから目をそらしてメアリーは静かに言った


「だって・・・、めんどくさいじゃん」


「お願いだから可愛くして!カワイイんだから!」


「もしかしてこのキャラ気に入ったの?」


「わりと!」


 ハッキリ答えるショウの態度にメアリーは頭を抱え・・・


「わりとってねぇ・・・・。それじゃあ」


 ・・・メアリーはしばらく考えた後に、こう発言した


「ねえショウ、プレイヤ―ネームって後から変えられる?」


「課金しなきゃいけないけど誰も使ってない名前なら変えられるよ」


「それじゃあさ、イメージに合う様に少し攻撃的な名前に変えるってのはどう? ルーベンスさんみたいに二つ名みたいな感じで、メアリー・ザ、ブリティデビルとか」


「そんなプロレスラーみたいなの嫌! アプリコットちゃんのままでいてください!」


 土下座しながらそうお願いするショウに向かってメアリーは流石にドン引きした


「そ、そこまで嫌なの・・・」


「嫌なの!」


「わ、分かったからその・・・・、面を上げい」


「やった!」


 ショウはピョンと立ち上がてガッツポーズをした。そのショウにメアリーは質問した


「そう言えばショウは盗賊から何が手に入ったの?」


「え、僕も盗賊の剣・・・・、は!」


 メアリーはそれを聞いて、ショウに怪しげな笑みを浮かべてこう言った


「ねえ、じゃあくれない? 二刀流で暴れたら楽しそう」


「嫌だよこれ以上メアリーが凶悪になるのは! それに今のレベルじゃ力のステータス不足で思う様に扱えないよ!」


「え~、いいじゃない」


「いや!」


「ちぇッ、仕方ないなぁ。エノキと盗剣のコンビで行くか」


 メアリーは剣と棒を構えて振り回してみた


「う~ん・・・、ホントに動作が重いわね」


「じゃあそのガラが悪い剣はしまおう」


「棒の方をしまう」


「そう・・・。まあいいか。じゃあ帰ろうか」


 メアリーは武器をしまって


「そう言えば、帰るってどうやって? 歩いてまた戻るとか?」


「いや、マップ見てみて」


 ショウに言われるままマップを見ると緑のアイコンが出ていた


「ここに行けばいいのね」


「ちゃんとクリア時に馬車が来るってメッセージ出てたよ」


「そうなの? ゴメン気づかなかった」


 メアリーは馬車に乗って冒険者ギルド前にもどり、受付に行った


「クエスト完了。お疲れ様でした。報酬をお受け取り下さい」


 メアリー達は500ゴールド手に入れた。経験値を得てメアリーはレベル4になった。メアリーは体力に10%ボーナスを得た


「おお! レベルが一気に4になった!」


「初回クリア時には報酬や経験値にボーナスが付くからね。ちなみに手伝った僕にももらえる」


「じゃあ初心者を手伝った方がお得なんだ」


 ショウはメアリーを拝む様ひ手を合わせ言った


「そういうこと。いやー、メアリーさんの初回ボーナスごちそうさまです」


「変な言い方しないでよ。それでショウはレベル幾つになったの?」


「まだ上がってないよ」


「え、まだってレベル1のまま?」


 ショウは首にぶら下げたペンダントを撫でながらため息をつく


「そう。これでもステータス下げる代わりに習得経験値を上げる装備付けてるんだけど、レベルアップはまだ当分先だね」


「うわ、本当に上がり難いんだ」


「合計クラスレベル1300越えてるからね。仕方ないよ」


「どんだけやり込んでるのよ」


 メアリーの言葉にショウは胸を張って応える


「ベータテストの時からさ!」


「なにそれ?」


「いや、正式にサービスが始まる前のテストプレイの事で」


「ふ~ん」


 ショウの言葉は微妙にメアリーに伝わらなかったのであった

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