冒険に出かけよう

第7話 1000歩進んで、999歩さがり、また進む

 アンファングに正式に所属した後、ギルドルームをもらいベットに寝転がっていたメアリーは・・・・


「・・・んん、今日も早く…起きないと・・・お?」


 ・・・・ゲームの中で目を覚まししばらく混乱した後、我に返った


「ログインしたまま寝ちゃったのか・・・・」


 起きてしばらくした後、ショウから連絡が届く


「メアリー!ログインしてるままみたいだけど、あのまま寝ちゃった?」


「そうみたい・・・。このPC寝心地が良くて」


「ちゃんとしたベット買おうよ。早くログアウトしないと遅刻しちゃうよ」


「え、ウソ! 直ぐに準備しないとッ!」


 焦って手間取りながらもログアウトしたメアリーは、急いで準備し出勤した


                 ・

                 ・

                 ・


 そしてその夜のゲーム内。冒険者ギルドで待ち合わせをしていたショウに合流した


「こんばんわメアリー」


「今朝はどうも。ショウ、あんたねえ、変な起こし方するから最速出勤記録更新しちゃったじゃないの!」


「ごめんごめん。まさか時間も確認せず飛び出すとは思わなかったからさ。僕がゲーム内に居る時点で多少余裕がある事ぐらい察しが付くでしょうに」


「な、に、おぅ…ッ!」


 メアリーはショウのほっぺを摘まんで引っ張る


「痛たた! そんな操作法どこでおぼえたのさ!」


「朝暇な時間にネットで調べたのよ、コイツめ」


 メアリーがそう言ってショウのほっぺから手を離すと、ほっぺはボヨヨンっと揺れた後、少し赤くなったが元に戻った


「まあなんにしても、さっそく新しい遊び方を自分で見つけてくれて何よりだよ」


「今日は昨日の格好と違うわね、どうしたの?」


 ショウは昨日の甲冑姿ではなく、旅人風の服にマント姿だった。多少違う部分がちらほら有るが、メアリーがキャラメイク時に見た初期装備に近い見た目の物を着ていた。そんな姿のショウが少し困った様に頬を人差し指の先でかきながら言う


「サブクラスを鍛えようと思ってね」


「サブクラス?」


「このゲームは戦士や魔法使い、製作業とかクラスに切り替えて遊ぶんだけど」


「ふむふむ」


主に使ってるメインクラス以外のクラスをサブクラスって呼んでるんだよ。他のクラスでおぼえた技も使えるからメイン以外のクラスを鍛えるのも楽しいんだ」


「へ~。じゃあ色んなクラスのレベルを上げておいた方が良いの?」


 メアリーの質問にショウはさらに表情を暗くする


「それがそい言う事でも無くてね・・・」


「と言うと?」


「他のクラスでレベルを上げると、他のクラスでのレベルが上がり難くなるんだ」


「ああ・・・、そうやってバランスとってるんだ」


「おまけに他のクラスで覚えたスキルがあっても、低レベルだとステータス不足で使えないし。このゲーム忘却ってシステム有るからさらに面倒で・・・」


「忘却って?」


「覚えたスキルを忘れて任意のスキルやステータスの性能を上げるシステム。僕さ…、低レベルで憶えるスキルのほとんど忘却しちゃったんだよね」


「ん? って事は・・・・」


 ショウは無理に作ったワザとらしい明るい表情にしかっこよさげなポーズをしながら堂々と言い放つ


「今の僕はまともに使えるスキルがない上にレベルも超絶上がり難いという超絶ダメっ子状態なのさ!」


「げッ! 超足手まといじゃ無いのそれ!?」


「他のクラスを上げた時のボーナスでステータスは標準よりもかなり高いから平気さ! ・・・初めの内はね」


「まさかそのレベル上げの為に、このお高いパソコンを私にあげてまで手伝ってもらおうとしたの!?」


「新しいPCにして処分に困ってたし、売るのも嫌だったからさ、一石二鳥だろ」


「ギルドの仲間に手伝ってもらえばいいじゃない」


 ショウは目をそらしてこう言った


「いやぁ・・・、知ってる仲だからこそ、格好悪いところを見せたくないじゃん」


「見栄っ張りめ」


 メアリーの呆れたような目で見つめられ、ショウは泣き付いく


「いいじゃんメアリー初心者なんだしさ、多少不便は有ってもベテランのアドバイス尽きだよ。僕だって今更新クラスだアップデートされるとは思わなかったから!」


 メアリーはショウを押しのけて距離を取りつつ叫んで聞いた


「初心者ってあんたが誘ったんでしょ!わかったわよもう! それで何のクラスにしたのよ?」


閃光の聖戦士ホーリーナイト 戦士ソルジャー聖職者プリースト聖騎士クルセイダーなどなどの複数のクラスを極めると選択する事が出来る、この間追加されたばかりの新クラスさ!」


「ごめん、自慢気に言ってるけど凄さが全然わかんない」


「ですよねー。まあとにかくメアリーのクラスを決めちゃおう、それとも初期のままが良い?」


「ちょっと待って。初期クラスってなんだろう・・・」


 メアリーは冒険者カードを見てクラスを確認し、その様子をショウは心配そうに見ていた。クラスの説明文にはこう書かれている


”無垢なる者、無垢な故にその成長も純粋である”


「どう、無事に見れたメアリー?」


「うん、朝の予習が役に立った。初めに設定されてるのってこの無垢なる者ノーバディってクラスよね? 名前はカッコいいんだけど説明文見ても何が出来るかピンとこないわね・・・」


「それは何のスキルも覚えない代わりにステータスボーナスを覚えるクラスだね。ステータスも均等に成長するから他のクラスを鍛えておけば万能キャラになる玄人向けのクラスだよ」


 ショウの説明を聞いてメアリーはぼやいた


「そんなのを初期クラスにするじゃないわよ、まったく」


「何も出来ない人間が冒険者ギルドで意味のあるクラスに昇格するって演出の為のクラスだし。いまは高レベルのノーバディはベテランが多いね、高いステータスで色んなスキルを使いこなせる万能キャラになれるから」


「初期にそんなクラスやってもただの無能ね」


「まあそうだけど…、今の僕がなさにその無能状態なんだし傷つくなぁ・・・」


「知らないわよそんなの。実はもうクラスは決めてるの」


 メアリーのセリフを聞いてショウはニヤつきながら言った


「例の予習で? なんだ、なんだかんだで楽しむ気マンマンじゃない。今夜楽しみにしてたぁ?」


「まあね。さあ、時間が持ったいないからさっさとクラス選択しに受付に行くわよ!」


「おー!」


 意気揚々とメアリー達は受付へと向かった

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