第4話 個人ギルドルームとデジタルと現実の間
個人ギルドゲート前にたどり着いたメアリーとショウは中に入ろうとしていたのだが・・・・
「どうしたんだいメアリー?」
「いや、その、大丈夫なの?」
「なにが?」
・・・・メアリーは開いたゲートの中を見てたじろいでいた
「なんか不自然なくらい真っ暗・・・、なんか闇の壁的な物がある様な感じなんだけどゲートの中」
「ああ、これは大人の事情ってやつで…。ギルドが違えば中に入っても別の場所につくのに先の光景が見えちゃ不自然でしょう」
「そう言う事・・・。ん~、だけだなぁ」
「ほらさっさと行くよ! 開けっ放しにしてたら迷惑行為に問われちゃうから」
ショウは先に歩き出した
「あ、ちょっと待って!」
メアリーも慌てて後を追いかける
「ね、平気でしょ」
「真っ暗で何も見えないのに、なんか勝手に歩いてるのは分かるから余計不気味」
「ハハハ、ただのロード時間中の演出さ、直ぐに外に出られるよ。ほら」
暗い道の先に光が差し、先に進むごとに光を増していき周りは真っ白になる。そしてメアリーは立ち止まった感覚を感じた後に見たのは鉄柵の大きな門だった
「わ~・・・」
「どう、これが僕が所属しているギルド・アンファングのルームだよ」
門の向こうには大きな庭と、大きな塔ががそびえ立っていた
「ルームって・・・、部屋じゃなくてこれじゃ城じゃない!」
「アップデート前の初期の頃は本当に屋内の部屋しか作れなかったからね、ギルドルームって呼び名はその名残だよ」
ショウが門に手を触れると門は音を立てながらゆっくりと開きだし、中からメイドの大群と共に馬車が一台現れた
「ドドドドドドド!」
メアリーは突然の出来事に身構えている
「ちょっと!なになに!? 武器!武器はどうやって出すの!?」
「落ち着きなよ、大丈夫だから」
メイドの1人が歩み出てお辞儀をしながら言った
「お帰りなさいませショウ様」
ショウは引いていた馬の手綱をメイドに渡して言った
「ただいま。僕の馬を頼むよ」
「かしこまりました」
ショウがメイドとそんなやり取りをしている間に、メアリーはデジタルのマニュアルを読みながら腰にある武器の棒を引き抜き振り回していた
「よっしゃーぁ! 持てた!武器持てた!! さあ、かかってこんかい!」
「だから大丈夫だって! ただのサポート用のNPCだから攻撃しちゃダメ!」
「え、敵じゃ無いの? 気の良い同僚の誘いに乗ったら、実は陰湿なイジメをもくろみ誰も居ないこの場で私を集団リンチとか、そう言う陰湿な少女マンガ的な展開は?」
「ないから! というかメアリーの読んでる少女漫画武闘派過ぎない?」
「気になる? なら今度貸してあげようか」
「あ、ホント? じゃあ次の出勤日に頼むわ。馬車に乗ろう」
「これで塔まで行くの?」
「そう、けっこう遠いからね。武器はしまってよ」
「はいはい・・・。って、これでいいはずよね」
メアリーはぎこちない動きで武器をしまって、ショウと共に馬車に乗る
「コンコンッ」
ショウが天井を叩くと馬車が発進し、広い庭を駆け抜けていく。馬車に揺られながらメアリーは外を見ながらふと呟く
「広いわね・・・、私もこんな広くなくて良いからハーブ育てる庭が欲しい」
「前に買ったて言ってた室内用プランターはどうしたのさ?」
「まだ芽が出ただけで収穫は当分先だし、使うのに十分な量を取れるわけじゃないしぃ~」
「使うって、育てるのを楽しむ機械なんだからさ。それに屋外で育てるのは大変だよ」
「うん、害虫駆除用のレーザータレットとか高いもんね。水撒き用のドローン飛ばすにも自治体の許可が必要だし、土地は有ってもめんどくさそうなのよねぇ…」
「ドローンって・・・、どれだけ広いハーブ畑りたいのさ」
「はは、広い庭見てたらついね。本気じゃないよ」
ショウはゲームとは別回線のネット画面をゲーム内にホログラムとして映し出し、写真でも手渡す様にメアリーに手渡した
「デジ農でも始めたら? 上手くいけば副業にもなるんだし」
メアリーは受け取ったポログラムをタブレット端末の様に操作しながら映し出されたポームページを見ていた
「デジタル農業ねぇ。プランターハウス借りてネットからロボットを操作して育てたモノを売ったり自宅に送ってくれたりするサービスかぁ・・・」
「そう。実はこのゲームがきっかけでそこのデジ農使って育ててるんだぁ。実はこのゲームとも連動出来るからこのギルドルームにも専用の畑が有るんだよ」
「そんな事も出来るの?」
「契約するのに課金しないといけないし、育てられる作物が実在する物じゃないといけないから種類が少ないけどね。まあ何とか黒字にはなってるよ」
「へ~、いくら儲かったの?」
「先月の稼ぎは・・・3000円くらいだったかな?」
「
「ネットゲームの商売で生活できるのはほんの一握りさ。儲けより課金の割合が多いからゲーム会社がやっていけてるんだし。楽しむ以上の事は望んだら負け」
「まあ、それもそうよね、ゲームなんだし。・・・私が買ったプランターもそうか」
「そう言う事」
メアリーはホログラムをショウに返すと、ショウはそのホログラムを閉じながらそう言った
「到着しました」
馬車の御者声がすると馬車の扉が開き、先に下りたショウがメアリーに手を差し出した
「さあ到着したよ。さっそくギルマスに会いに行こうか」
ショウの手を握るとメアリーはエスコートされた淑女の様な動きで自動で馬車を下りる
「なんか恥ずかしいわねコレ」
ショウはワザとらしいゲスな感じの表情をして言った
「グフフ。手を差し出したらこっちの思うままに動く様は見ていて快感ですぜ」
「悪趣味」
「リアルじゃ馬車を下りる女性をレディファーストでエスコートなんてできないもん。フフッ、こう言う小ネタを組み合わせて楽しむのさ」
「動き把握するのに時間がかかりそうね。でも慣れたら楽しいかも」
玄関の前に立つと大きな扉が開かれた
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