第2話 はじまりの港

 船の警笛が鳴り響き港についた事を知ったメアリーは思わず足を踏ん張ってしまう


「おっとっと! ペダル踏むと立ち上がるのね。びっくりした」


 隣に座っていたNPCゴルドンも立ち上がりメアリーに語り掛けた


「外に出るか」


「ええ、行きましょう」


「よし、じゃあ出口まで案内するぜ」


 ゴルドンがそう言い終わった後にメッセージと共に視界の端に地図マップが表示される


”このマップに表示された目的地に向かってください。マップの周りのを囲んで居る円から突きでた白い矢印が北を指し、赤い矢印は目的地まで進むルートに指示しています”


「マップって、小っちゃくてよく分かんないんだけど・・・」


”マップを摘まむと好きなの場所に移動させる事が出来ます。またダブルクリックで拡大表示する事が可能です。マップが不要な場合はマップを摘まみ腰にあるアイテムポーチに入れましょう”


「キャラメイクで選んだポーチね。しまった後にまた取り出し合い時は?」


”アイテムを取り出す時と同様です。手を開いた状態でポーチに触れるとウィンドウが表示されます。親指を縦に動かすと縦に項目がスライドし、横に動かすとタイプ別に仕分けされた項目に移動します。貴重品の項目を選びマップを選択して5本全ての指を閉じるとアイテムを取り出し使用する事が出来ます”


「ややこしい・・・、それは後でやるわ」


「おーい、来ないのか?」


 メッセージを聞くのに夢中で立ち止まっていると、ゴルドンの呼びかける声でメアリーは我に返った


「はい!すみません今行きます!」


 NPCであるゴルドンに謝りながらメアリーは急いで後をついて行った


「よし!ついたな。俺が案内できるのはここまでだ。カードを登録するから何かあったら連絡してくれ」


「あ、どうも」


 ゴルドンからカードを差し出され時、メッセージが表示される


”冒険者カード。プレイヤーのステ―タスが表示されている冒険者とって大切なカードです。差し出されたカードに自分のカードを重ね合わせる事によりその人とフレンド登録され、何時でも連絡できるようになります。冒険者カードはアイテムポーチの貴重品に入っています。ゴルドンとフレンド登録してみましょう”


「へ~、こうかな」


”ゴルドンとフレンド登録できました。ゴルドンに連絡すればゲームの初歩的な情報を聞く事が出来ます。連絡はガードに書いてあるフレンドをクリック、現れた欄から目当ての人物を選択しメールか通話を選び連絡を取る事が出来ます(通話は相手がログアウト状態、または通話拒否の状態の時は使えません)”


「登録完了! じゃ、がんばれよ!」


「はい、ありがとうございました!」


”クエスト『冒険者ギルドへ行く』が追加されました。クエストは冒険者カードから確認できます。これにて基本移動のチュートリアルを終わります、お疲れ様でした”


 去って行くゴルドンの背中を見送ったところでメアリーはため息をついた


「本当に疲れたぁ・・・・。早くアイツに連絡しなと」


 メアリーは冒険者カードを見て、フレンドから、一番上の欄にある名前を入力し検索するを選び、同僚のプレヤーネームを入力しするとパスワードを要求された


「イタズラ連絡防止用のパスワードね。私もキャラメイクの時に適当に指定したけど後で変えようかな」


 そう言いながらメアリーはVRユニットの下の窓を開きリアルの机に置いてあるメモを見ながらパスワードを入力した。VRユニットの下の覗き窓はリアルでちょっとした作業を出来る様につけられた標準的な装備になる


「これで良いのかな? もしもーし!」


 パスワードを入力した後コール音が鳴り響き、しばらくすると相手の声が聞こえた


「はいはーい、どちら様ですか~?」


「アナタの仕事の同僚でーす。何時もと声が違うから変な感じね」


「はは!ゲーム用に設定した合成音声だからね。と言うかそれはお互い様でしょうに」


「それもそうだった。自分じゃよく分からないけど」


「今船を下りたところ?」


「そうだけど、この冒険者ギルドって場所で待ち合せればいい?」


「直ぐに僕のギルドに案内しておきたいから外で待ってて。今日はもうのんびり足んでる時間は無いでしょ」


「それもそうね」


「それに屋内だとちょっと・・・」


「建物の中だと何かまずいの?」


「移動手段の問題でね。今いるのが何番の港かわかる?」


「床に4って数字が大きく描かれてるけど」


「4番港だね。今行くからそこで待ってて」


「了解!私はメアリーアプリコットって名前で登録したから」


「連絡来た時にカードに名前が表示さるから分かるよ。アバターの特徴は?」


「種族は人族ヒューニティの女性で体格はリアルの私によせたつもり。後はそうね・・・髪が艶々ピンクのロングって所かな」


 私の特徴を聞いて同僚は笑いを噴き出した


「ピッンックッッですぅと! 似合わないッッ…、アハハハハハ!」


「ちゃんと顔の方も似合う様にしてるから大丈夫よ。それにリアルじゃできっこない格好にした方が面白いって言ったのはアンタじゃない。気に入らなかったら作り直せばいいって!」


「アハハハ!確かにそう言ったけど、フフフ・・・。じゃあ待ってて」


「このパッツン前髪の下から覗く、私のオーシャンブルーの瞳に惚れるんじゃないぜ☆」


「ププッ…。もう特徴は分かったから言わなくていいって! じゃあ通信切るよ」


「はいはい、じゃあ大人しく待ってるから」


 通信を切り、しばらく港で待っていると・・・・・


「そう言えばアイツはどんなアバターなのかしら? ・・・・・ん?」


・・・・・同僚を待っているメアリーに向かって、何かが勢いよく接近して来ていた


「え! なになに!?」

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