剥離と乖離

人は少しずつ何かを削り、今と離れていく生き物だ

幼い頃と比べて無邪気さが剥がれ大人が出てきた

洗練されたと言われれば聞こえはいいが取り戻せなくなったのだと考えれば話が変わる

失い離れたから大人びたのだと


その途中で得たものも何かが剥離していく過程で浮き出たものなのではないだろうか?

親、友人といった人間関係

趣味、興味を持った事柄など

それらは浮き出た、もしくは剥離した隙間を埋めるために貼りつけたものではないか

何かが剥がれ、何かで埋め貼りつける

人生はそれの繰り返しではなかろうか?

そして生まれた自分から乖離していく

壊れたのではない、おかしくなったのではない

元来人生というのは剥離し乖離していくものである

最後には何も残らずすべてが剥がれ落ち生から乖離するのだ

残ったものがあるかもしれないがそれは剥がれ落ちた後、残されたもので自分ではない


君達はどう思うだろう

この考えはおかしい、そんなことはないと考えるかもしれない

生まれた時は何も持たずその先で様々得てそれを最後まで持ち続ける

死の間際まで離さずこの世から去る時に持てる物は持っていく

そういった考えも良いだろう、残したものは落ちたものではなく財産なのだと考えてもいいだろう

前向きに、失ったり離れるのではない

良い考えだ、君達の思いもわかる


果たしてそれが正しいだろうか?間違っているだろうか?

誰にも考えがある、誰しも思いがある

無理強いをするつもりもない

君達と考えが乖離しているだけなのだ


掴んだものを離す、当然のこと

人は全てを抱えきれない、吸収しきれない

いつ剥がれるか、いつ離すか

タイミングを見計らって捨てていくのだ

それは変わらない

得たものを捨てる、これも剥離だと考える

なら君達もしているはずなのだ

覚えていたことを忘れることも、持ち物を捨てたり売ることも

何もかもが今の自分から剥がれ離れることだ

最終的には全てが乖離し自分だけが残る


いつ離すか、その時を見計らうのが人生である

人にしろ物にしろ、持ち続けることは出来ない

最後まで持てるのは自分の魂でそれすらも死によって離れていく

刹那の人生、その場を楽しむことも大事だ

ただそれはいつまでも続かない、状況は刻一刻と変化する

今か今かと時を見て剥離させる

君達もそうは思わないか?無理強いはしないがいずれ出会うだろう

そのタイミングに

その時、剥離と乖離について思い出してほしい

最後には全てが剥がれ落ちるのだから


いつ離すか、それは人それぞれだがね

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