一〇 八千代市立安宗中学校 壱
教頭とそれぞれの担任が出迎えて、丁重に警官に頭を下げた。
朱理は、悪いことなんか何もしてないんだから頭を下げる必要など無い、と言ってやりたかった。断ったのに勝手に付いて来たのだ。
むしろ捜査に協力して遅刻しているのだから、警官が先生たちに謝るべきだろう。いや、謝るのは朱理たちに対してだ。
学校になど付いてこず、
そう思ったところで、警察では由衣を見つけられないという考えが湧いてきた。
「先生、気分が悪い……」
警官と別れ教室に向かっていると、
彼女は由衣の家からずっと朱理の腕にすがっている。顔を覗き込むと真っ青だった。
「香澄、だいじょうぶ?」
「本当だ、保健室に行って熱だけでも計った方がいいね」
香澄の担任の
「アタシが連れて行きます」
「ん……それじゃ頼んだ」
「わたしも一緒に……」
「一人でいいって、朱理は教室に行って。香澄、行こう」
「うん……」
香澄は朱理の腕を放し、凜に寄りかかるようにして保健室に向かった。
「アカリン、あなたも大丈夫?」
宏美が心配そうにこっちを見ている。
「わたしは平気です……」
「そう? ムリしちゃダメだよ。庄司先生、それではお願いします」
「はい」
今は二時限目で庄司が受け持つ理科だ。一時限目の休憩時間が終わったばかりだから、それほど授業に影響は無いだろう。
朱理は庄司と一緒に自分のクラスへ向かった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます