一〇 八千代市立安宗中学校 壱

 あかたちは警官に伴われ学校に着いた。


 教頭とそれぞれの担任が出迎えて、丁重に警官に頭を下げた。


 朱理は、悪いことなんか何もしてないんだから頭を下げる必要など無い、と言ってやりたかった。断ったのに勝手に付いて来たのだ。


 むしろ捜査に協力して遅刻しているのだから、警官が先生たちに謝るべきだろう。いや、謝るのは朱理たちに対してだ。


 学校になど付いてこず、を探して欲しい。


 そう思ったところで、警察では由衣を見つけられないという考えが湧いてきた。


「先生、気分が悪い……」


 警官と別れ教室に向かっていると、すみが弱々しい声を上げた。


 彼女は由衣の家からずっと朱理の腕にすがっている。顔を覗き込むと真っ青だった。


「香澄、だいじょうぶ?」


「本当だ、保健室に行って熱だけでも計った方がいいね」


 香澄の担任のしようたかしが言った。


「アタシが連れて行きます」


 りんが申し出た、彼女と香澄は同じクラスだ。


「ん……それじゃ頼んだ」


「わたしも一緒に……」


「一人でいいって、朱理は教室に行って。香澄、行こう」


「うん……」


 香澄は朱理の腕を放し、凜に寄りかかるようにして保健室に向かった。


「アカリン、あなたも大丈夫?」


 宏美が心配そうにこっちを見ている。


「わたしは平気です……」


「そう? ムリしちゃダメだよ。庄司先生、それではお願いします」


「はい」


 今は二時限目で庄司が受け持つ理科だ。一時限目の休憩時間が終わったばかりだから、それほど授業に影響は無いだろう。


 朱理は庄司と一緒に自分のクラスへ向かった

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