第3話 厄介な人たち
「さてと、接触は失敗してかなり避けられてるけど、どうしよっか? さすがに生霊を生みだすほどの強い思念の持ち主だし放置するわけにはいかないよね……」
接触から3日ほど経過したが手帳の主『
「確かに放っておくのはマズいと思うけど継君が危ない目に遭うのは絶対に嫌だな」
そういって桜花さんは俺の顔を下から覗き込んでくる。
「そうは言っても、他の人達からも避けられている様な気がするんだけど……」
周りのクラスメイト達を見るとみんな顔を逸らして俺と顔を合わそうとしない……。
「それは私と話をしているのが原因じゃないかな? やっぱり学校内では話さないようにしようよ……」
「嫌です」
俺が即答したのに驚いたのかビックリした表情で俺を見つめてくる。
「だって好きな人と喋れないとか、拷問でしょ? 俺は桜花さんが幽霊でも好きだから話していたいし触れたいとも思ってる。他の人がどう言おうが関係ない」
桜花さんを見つめながら、そういうと桜花さんは顔を真っ赤にしながら空中でゴロゴロと悶えているので放置して、弁当を片手に中庭に向かうことにした。
「こんにちは、一人でどうしたんだい? 転校生君」
中庭で昼食(桜花さんの手作り弁当)を食べていたのに、どうしてこの人は……。
「さようなら生徒会長さん」
そそくさと弁当を片付けて立ち去ろうとすると腕を掴まれてしまう。
「聞いたよ、なんでも君は手品が出来るらしいじゃないか、しかもペンとメモ帳が宙を浮くっていう不思議な手品が……。本当に幽霊が居るの?」
そういって俺のことを見つめてくる。
「何を言っているんですか? あれは手品ですよ? もしかして本気にしたんですか?」
俺を見つめている生徒会長に問いかけると彼女は頷いて、瞳を輝かせながら見つめてくる。
「どうして幽霊なんて信じているんですか?」
そう尋ねると生徒会長は頷いて
「どうしても謝りたい人がいるんだ……。だから、もし幽霊が見えるのなら手伝ってもらいたいことがあるんだ」
そういって俺のことを見つめてくる……。
「継君、初めて幽霊関係のことで頼られてるんだから彼女のお願いを聞いてあげなよ♪ 私も手伝ってあげるから」
俺と会長の会話を聞いていた桜花さんが嬉しそうに俺を見つめて話しかけてくる。
「どうしたの? そこに何か居るの?」
宙を見つめていた俺の姿が気になったのか会長さんが尋ねてくる。
「俺の彼女が居ます……。幽霊ですけど」
そういって桜花さんの頬にキスをする。
「ちょっ、継君……。人が見てるところでイチャつくのは恥ずかしいよ……。もぅっ、変なところで大胆なんだから」
桜花さんは嬉しそうに笑って、俺の頬にキスをして真っ赤な顔を逸らす。
「もしかして今、キスしていたんですか? ハレンチです!」
そういって会長は顔を真っ赤にして俺を指差し、逃げ出してしまう。
「ちょっ、話の途中でどんな内容なのか、まだ聞いて無いんだけど……」
逃げ出す先輩の背中にそう声を掛けると『放課後、生徒会室で待ってます』と言っていなくなってしまった……。
「とりあえず弁当食べよっか」
そういって俺は桜花さん手作りの弁当を食べることにした。
「憑代君、さっきは教科書見せてくれてありがとうね♪」
昼食を食べ終わり席に着くと隣の『
「あぁ……、俺も忘れることあるしドンマイだよ!」
そういって手を振り返すと彼女は顔を真っ赤にして頷き、後ろの席の女子と話している。
「人誑し……。継君は優しすぎると思います。その優しさを向けるのは私だけでいいです」
頬を膨らまして少し不機嫌そうな桜花さんは俺の顔を両手で挟み、見つめてくる。
「そんなことないですよ、俺は桜花さん一筋ですから! それに俺みたいなブサイクに誑される奴いないですよ」
そういって笑うと桜花さんは溜息を吐いて『謙虚なところも好きだけど程ほどにしないと、いつか痛い目に合うよ?』と言ってデコピンをしてきた。
午後の授業は滞りなく終わり、無事放課後になった……。
「ねぇ本当に行かなきゃダメ?」
そういって俺は背中に抱きついている桜花さんに確認を取ると彼女は頷いて俺を生徒会室に行くように促してくる。
「ちゃちゃっと終わる用事なら良いんだけどね」
そんなことを桜花さんと話しながら生徒会室のドアをノックすると中から『どうぞ』と言う声が聞こえたので中に入ると部屋の中には生徒会長の卯月さんの他に2人女子生徒が居た……。
「よく来てくれたね。それじゃあ適当に座ってくれるかな?」
逃げ場がない……。俺は諦めてコの字に並んだ机の真ん中に置かれた椅子に腰かける。
「へぇー、彼が卯月ちゃんのお気に入り? 私は
「うぅーん、パッとしないですね? あっ、私は
左右に座る女の子達が自己紹介をして俺の顔と卯月さんの顔を見比べている……。
「そっ、そんなんじゃないです! 彼は私の協力者です」
卯月会長は顔を真っ赤にしてワタワタと何故か慌てているように見える。
「いつから俺は会長の協力者になったんですか? 話を聞くとは言いましたが協力するとは一言も言ってないと思うのですが……」
そういって会長の顔を見ると彼女は頬を膨らまして俺のことを睨みつけてくる。
「睨みつけたって協力者になんてなりませんからね? とりあえず話だけ伺います」
そういって彼女達を見回すと彼女達は頷いて話し始めてくれた……。
2年ほど前、一人の女子生徒が交通事故で亡くなってから音楽室にあるグランドピアノがひとりでにクライスラーの愛の悲しみを奏でるらしい……。そして亡くなった女子生徒は会長の親友で喧嘩別れをして亡くなってしまい、あの時のことを謝りたいらしい……。
「それで霊感があるって噂があった俺に白羽の矢が立ったってことですね?」
そういって3人を見渡すと彼女達は頷いて学校の見取り図を渡してくる。
「今日から一緒に事件……。いや、桜ケ丘高校の七不思議調査を手伝ってもらいたいの……。怪奇現象が起きるのは、いつも20時以降だから一度家に帰ってから校門前で集合です」
俺が行かないということは考えていないのだろうか……。
「来てくれたら生徒会に入れてあげる。生徒会に入ると特待生扱いで学費が補助してもらえるからお母さんがこっちの病院で入院している君には悪い話じゃないと思うんだけど?」
痛いところを的確についてくる……。それよりも、どうして俺のお母さんのことを知っているんだ?
「生徒の情報は生徒会が管理しているからね……。君の情報も勿論持っているよ。おかしいと思うかもしれないけどこの学校ではコレが普通なんです」
右側のテーブルに座っている女の子がそういって生徒名簿に挟まれた俺の個人情報を見せてくる。
「マジですか……。確かに特待生になれて学費が補助されれば助かりますけど……。でも生徒会に入るつもりはないです……。なので断り……」
「
そんなことまで調べられていたのか……。確かにバイトは事情が無ければ禁止されていたが俺は学園長と理事長に許可を得ているから問題は無いはず。
「学園長や理事長には私から話をしています。NOとは言わせませんよ」
どうやら逃げ道は無いようだ……。
「分かりました。そのかわり生徒会には入りたくないのでバイトの許可と今回の助っ人代と学費の補助をお願いします。何か困ったことがあれば手伝うことぐらいならします。但し民宿の仕事が終わってからって条件が付きますけど」
そういってスクールバッグを持って生徒会室をあとにする……。厄介な人たちに目をつけられてしまった……。
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