第2話 見える人の非日常
「さて、屋上に来たけど、授業中ってこともあって誰も居ないね……。除霊始めるから手伝ってくれる?」
そういって桜花さんを見ると彼女は頷いて空中を一回転して巫女服に着替える。
「よしっ! それじゃあ除霊しよう」
俺と桜花さんは手を繋ぎ、二人で祝詞を読みあげていく。
「「
祝詞を読み上げ終わると同時に彼女に憑りついていた腐った幽霊は離れ、消えると同時に糸のようなものが宙に漂っている。
「継君、コレって
そういって俺のことを見つめてくる……。
「追って犯人を突き止めよう」
俺と桜花さんはお互いの顔を見つめ合って頷き、霊糸線を辿っていくことにした。(隣の席の香澄さんは貧血ということにして保健室に連れて行きました)
「霊糸線を辿ってみたのは良いんだけど、本当に犯人はあの人で間違いないんだよな?」
霊糸線を辿っていくと教室にたどり着き、霊糸線の先には前髪で目元まで顔が隠れている女生徒が居た……。
「うん、間違ってないと思うんだけど……。ごめん、私も自信ない」
とりあえず様子を窺って話しかける機会を待とう……。
「結局お昼の時間になってしまった……」
休み時間中、一人でノートに何かを書いていて話しかけるタイミングが一切なかった。
「どうするの継君? もうお昼の時間も残り少ないよ?」
そういって桜花さんが俺のことを見つめてくるけど正直どうしようもないというか、きっかけが無いから何も出来ないというか……。
「あっ、席を立ったわよ! あとを追いかけよう継君!」
そういって追いかけていく桜花さんを追いかけていくと彼女が何かを見つけたのか俺を手招きしてくる。
「ねぇ、あの子手帳を落していったよ? 何か手掛かりがあるかも!」
そういって手帳を指差す……。
「勝手に手帳を覗き見するのはマズいと思うんだけど……。何か手掛かりがあるかもしれないし……。覗いてみるか」
何が書かれているか手帳の中を見ると、その中には乱雑な字で
『デゥフゥゥゥ私が男の子だったら香澄さんを無理矢理剥がして乙女に変えるんだ』とか『男になった私が無理矢理香澄さんの唇を奪って、熱り立ったもので彼女の鉄の処女を抉じ開けるの♪ そこから私と香澄さんの恋が始まって……』
うん、コレは見ちゃいけないやつだった……。
「何処に行ったの私の手帳、アレを見られたらマズいのに……。どうしよう……」
手帳を落したことに気がついたのかキョロキョロと廊下を見つめながら、さっき女の子が戻ってくる。
「この手帳どうすればいいんだよ? 渡したら絶対に見たのか詰め寄られるよな?」
どうするべきか桜花さんに相談していると『あぁ~っ』という声と同時に足音が近づいてくる。
「そっ、それ私の手帳です! みっ、見ましたか手帳の中……」
ヤバいめっちゃ睨んでくる……。
「そうだったんですか? 廊下に落ちてましたよ? それじゃあ俺はこれで失礼しま……」
そういって逃げようとすると腕を掴まれてしまう……。
「質問の答えになってないです。見たんですか?」
どうしよう逃げられない……。
「見てないですよ? 誰のか分からなくて困っていたんですよ……。持ち主が見つかって良かったです」
そういって手帳を渡すと彼女は首を傾げて俺のことを見つめてくる。
「中には授業で気づいた要点とかを書いていたので失くなると困るものだったので助かりました。少し見てみます?」
彼女は、そういって手帳を広げて手渡してくる。
「いや、大丈夫だよ……。そういうのは自分で書くから」
渡された手帳には赤や黄色のペンで授業の要点が書かれていて俺が返した手帳とは内容が全く違っている……。
「あれ? さっきと内容が……」
手帳を覗いていた桜花さんは、そういって不思議そうに首を傾げている。
「だよな……。さっきと違……」
思わず声にしてしまったことに気づき、口をつぐんで顔を上げると、そこには真っ黒な瞳で俺のことをジッと見つめる手帳の持ち主が居た……。
「さっきと違うって……。やっぱり手帳の中を見たんですね?」
どす黒いオーラを纏った彼女がにじり寄ってくる……。
「たまたま、たまたま手帳が開いたまま落ちていたから持ち主を特定するために必要な事だったんだ」
そういって逃げようとするが腕を放してくれない……。
「ダメですよ。逃げられるなんて思わないでください。さて、どうしましょうか?」
手帳の持ち主は不気味な笑みを浮かべながら俺のことを見つめてくる。
「きちんと訳を話すと手帳を見たのにも理由があって……。君の香澄さんへ対する思いが生霊になって彼女に憑りついていたんだよ……。だから元凶である君と話がしたくて機会をうかがっていたら、たまたまこうなったんだよ」
そういって桜花さんを見つめると彼女は頷いて俺のペンを使ってメモ帳に『こんにちは、桜花です。継君の言っていることは本当で彼、見えるんですよ』とメモ帳に書いていく……。見えない人が見たら空中にペンとメモ帳が浮いていてかなりホラーな瞬間だろう……。
「あばばばばっ、ちゅ、宙にペンとメモ帳が浮いてて文字が……」
手帳の持ち主はあまりの出来事に驚いたのか回れ右をして教室に逃げ込んでしまった。
「やべっ、驚かせすぎちゃったかな?」
桜花さんを見つめると彼女は頷き
「継君を傷つけようとするからだよ! いい気味」
桜花さんは嬉しそうに笑っていた……
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