第1章 俺の彼女
第1話 憑代 継の一日 1
「それでは生徒会からのお知らせです。
……長い、長すぎる……。あれっ? 生徒総会って、こんなに長かったっけ?
「ねぇねぇ継君、あの生徒会長さんって今朝の女の子じゃない?」
そういって俺の頭の上から声が聞こえる。
「そうみたいだね……。っていうか、いいかげん俺の頭から離れてくれないかな? ちょっと肩が凝ってきたんだけど」
そういって俺は頭を
「ひゃん♪ 継君のえっち♪ いきなり胸を触るだなんて大胆だね」
そういって俺の頭の上に胸を押し付けて宙に浮いているのは同い年ぐらいの女性で黒髪ロング。まさに大和撫子という言葉がぴったりの幽霊で巨乳の
桜花とは3歳のころ地元で有名な夜桜の名所に行ったときに枝垂桜の下で寂しそうに一人で泣く彼女にあってから十三年の付き合いだ。
「今更そんなこと言う? 桜花、俺が気づいてないと思ってるの?」
そういって彼女を見ると隣に立っている女子生徒が俺を見ながらクスクス笑っているのが視野に入る。
「ほっ、ほら変な奴って思われて、またイジメられちゃうよ! 二人の時以外話すのは止めようよ」
桜花は顔を赤くしながら俺の頭を
「別にどう見られていようが関係ないよ……。俺には綺麗で可愛いイタズラ好きな桜花が見えるんだから……。無視なんか出来るわけないし、するつもりもない……。だって好きだもん」
そういうと頭の上から重さが消えて『継君のばかぁ……。恥ずかしいじゃんか!』という声と同時に体育館から気配が無くなる……。どうやら恥ずかしくなって何処かに行ってしまったらしい。俺が思っている本当のことを言ったのに何故恥ずかしいんだろう?
「今日、横断歩道で車が来ていないか確認作業を怠って轢かれそうになった生徒もいたので気をつけてもらいたい」
生徒会長さんの話がどうやらまだ続いている……。眠いzzz。
「特にそこで私の話を眠そうに聞いている君にね!」
そういって壇上から指を差しているが後ろの方に居る俺に向けているわけでもないし気にしなくても平気だろう。
「おいっ、そこの君だよ! 次にまたあんなことがあっても絶対に助けないからね!」
うるさいなぁ……。マイクで大きな声はマズいでしょ? そのくらい常識じゃないのかな?
「今、先生から紹介がありましたが今日からお世話になります。『
生徒総会のあと担任の先生に呼ばれ、教室で自己紹介をする。
「憑代って苗字珍しいね♪ ここに来る前は何処に住んでたの?」
隣の席に座る、活発そうな女子生徒が話しかけてくる。
「石川の白山」
そういって彼女を見つめると彼女の背後に目が腐り飛び出ている男の姿が見える……。
「そうなんだぁ~、遠くから引っ越してきたんだね! 何か困ったことがあったら私を頼って良いからね!」
そういって笑いながらサムズアップしているけど、そっちこそ困ったこと無いの? 明らかに憑りつかれてるよね?
『アァッ……アァヅ』
なんか背後にいる腐った幽霊もサムズアップしてる! どういうこと? もしかして良い奴なのか?
「いや、あれ明らかに悪霊だからね」
いつの間に帰ってきたのか桜花さんが俺の頭の上で彼女の背後の霊を指差しながら話しかけてくる。
「やっぱりそうなの? でも、物凄いにこやかな顔でサムズアップしてるよ?」
頭上に居る桜花さんに小声で話しかけると彼女は頷いて、あっという間に巫女服に着替える。
「私だけで除霊できるか不安だけど学校だし継君に迷惑かけるわけにはいかないから頑張っちゃうね」
そういって桜花は除霊のための
「輪廻転生の輪に乗り、清らかな心を持ち、新たな生で天寿を全う出来るように励みなさい」
そういって祝詞を上げ終えた桜花さんが手を振りかざすと悪霊と思われる腐った幽霊が苦しみだす……。
「ヴヴッ……。ヴぉぐは、がじゅみざんのごいびぃどになっでげっごんずるんd……邪魔ずるなぁぁぁ」
喋ったと思ったら彼女に憑りつき、握ったシャーペンで俺を刺そうとしてくる。
「そこ仲良くなったのは良いことだけど静かにしなさい」
先生、シャーペンで刺されそうになるのは仲が良くなったって言うんですか? しっかり生徒を見てください襲われてますよ!
「祝詞で成仏しないなんて……。どうしよう継君!」
大概の悪霊は桜花さんので除霊できるんだけどな……。もしかしたら生霊の類かもしれない
「厄介だなぁ……。とりあえず動きを封じるために呪符でも貼っておくか」
掴んだ腕に祝詞と【鎖】と書かれた呪符を貼りつけると憑りつかれた女子生徒ごと動きが止まる。
「どうしたんですか
ペンを持った状態で俺に腕を振り下ろそうとしてるのにその反応ってどうなの?
「先生、え~っと香澄さん? 体調悪いみたいなんで保健室に連れて行ってあげてもいいですか?」
黒板の前に立つ先生に尋ねると先生は『ありがとう。よろしくね』といって送り出してくれた。
「さてと、どこで除霊するか……。さすがに廊下でやったら声とかで気づかれるよな?」
ついてきてくれた桜花さんに聞くと彼女は頭上を指差す。
「なるほど、そこなら気づかれないね」
桜花さんの意図が読めたので俺は彼女の案内で目的地に向かうことにした。
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