意外な才能
「こんにちは」
教室に入る僕に先輩たちが練習の手を止め挨拶を返してくれた。
「ここに推薦で入ろうとしている子だ。練習中悪いけど色々教えてやってくれ」
先輩たちにそういうと先生はどこかへ行ってしまった。
部室に取り残されてしまった僕はどうすればいいのかわからずに立ちすくんでいた。すると、一人の男の先輩がこっちへ来いと手招きをしている。
僕は荷物を端へ置きその先輩の方へ近寄って行った。
「射撃ってどういう競技か知ってる?」
「いえ、全くわかりません」
そう僕が返すと先輩は丁寧に射撃のことを教えてくれた。
10m先にある的を狙い、点数により順位が決まること、制限時間45分以内に60発撃ち切ること。その他の細かいルールまで丁寧に。
「まぁ、話聞いたり見たりしてるだけじゃ退屈だろ?ちょっと撃ってみる?」
「いいんですか?」
僕は目を輝かせて聞き返した。
「素直な反応で面白い子だね。やらせてあげてもいいんじゃない?」
と隣にいた女の先輩がニコニコしながら話に入ってきた。
「じゃあ、準備するからちょっと待ってて」
そう言うなり先輩は早速準備に取り掛かった。
「私、もか!さっき話してた男の人は岡田って言うんだよ。君の名前なんて言うの?」
男の先輩が準備をしている間に退屈させまいと、さっきの女の先輩が喋りかけてくれた。
「圭祐(けいすけ)です。よろしくお願いします」
「へー、圭祐君って言うんだ珍しいね。じゃあ準備してる間に簡単な説明しちゃうね」
そう言って、もか先輩は準備をしている間に銃の扱い方や狙い方を簡単に説明してくれた。
「準備できたぞー」
「あっ、圭祐君準備終わったってよ!さっき教えたとおりにやってみな!」
「はい」
僕はさっき教えてもらった通りに銃を構え狙いを定めて引き金を引いた。
バシュッ!
予想もしない電子音が鳴った後、ディスプレイには10点が表示され王冠が光っていた。
「すごいじゃん!」
もか先輩が飛び跳ねながら言った。
「サバゲーとかなんかやってる?」
岡田先輩が僕に聞いてきた。
「えぇ、少しですがやってます」
「おっ、何の銃使ってんの?」
どうやらこの先輩もサバゲーをやっているらしく興味を持たれたようだ。
「P90です」
「マニアックなのつかってんなぁ!」
と岡田先輩が笑った。
「邪魔してわるい、続けていいよ」
と僕に笑顔でそういうと岡田先輩は集まってきた先輩たちと話し始めた。
僕は気にせずに再開した。1発2発と撃っていく。
10発ぐらい撃ったところで回りが騒がしいのに気が付いた。
「え?やばくない?」
「普通に上手くない?」
「ホントに未経験?」
顔を上げた僕に先輩たちが一斉に質問攻めをする。
「は、はい未経験ですけど...」
「にしてはお前上手すぎだろ!絶対入った方がいいよ!」
とおどおどしている僕に岡田先輩は僕の肩を叩きながら言った。
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