第25話高校生時代と祝いのカラオケ

私たちは、それぞれの進路に無事合格した。

 そのことに対して、一番喜んだのはギンちゃんだった。ビッくんは自分が合格したと知った途端に気絶していたし、私も腰が抜けてしまった。

「これで、全員が合格したな」

 お祝いしようぜ、とギンちゃんは私たちをカラオケに連れて行った。そこで私たちは、これまでの受験勉強の鬱憤を晴らすように歌った。私たちのような生徒はたくさんいて、彼らは自分たちの進路を自分たちなりに祝った。

 それは、別れの準備のようでもあった。

 進路が決まれば、もはや卒業のときは近づいていた。

 卒業すれば、私たちは育った街を出て行けなければない。

 私も、ギンちゃんも、ビッくんも春になれば都会で一人暮らしをする。私たちは友人とだけではなくて、生まれ育った場所からも離れるのだ。

 私は、このときほどネットというツールに感謝したことはなかった。

 コレがあれば、いつでも繋がれる。

 私たちは、そうやって繋がったまま離れた。

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