第22話高校生時代とネットの闇
私は、ビッくんとの話をスキップに聞いてもらった。
不思議なほどに、心は凪いでいた。けれども、スキップは何故か私の話を大仰に騒いだ。そして、ネットではとても話せないから実際に会って話をしようと言い出した。
私の返事を聞く前に、スキップは都会で会いましょうと住所を送ってきた。
その流れはニュースで話題になっている事件と同じだった。若い女の子を都会に呼び出して、誘拐する手口。スキップもそういう手合いなのだろうか、と私は疑った。
そのとき、闇が見えた。
顔が見えないというネットの特異性を生かして、他人の悪口を言う人々。そんな人々のなかでスキップはまともな人間だと思っていた。けれども、スキップこそが闇そのものであったのだ。
私は、パソコンの向こう側で大きなため息をつく。
スキップとの付き合いは長くなかったのに、長年の友人に騙された気分であった。そして、これが私たちの文化の側面であったのだと理解もした。
私たちが育てた文化は、危険がある。
そして、その危険からは自分自身でしかその身を守ることができないのだ。
私たちが育んでいる文化というのは、そういうものであった。
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