BATTLE5

「gaaaaaa!!」

――ドガン! ドガン!

「っ! なんつー威力だ!」

 メチャクチャに振り下ろされる拳……いや熊の様な振り回しというべきか、それが絶え間なく繰り出される。

 大振りなんで直撃はしないが床やら柱がことごとく破壊されていっている。

「よくこんなになるまで抑圧してたな、研究所は……」

 腹立たしい。収まるべき場所に収まらず、ただただ破壊のみを目的とした本能に仕上げやがった研究所が。

「ugaaaa!!」

――ビュン!

「うおっ!」

 コイツ跳んで来やがった。しかも的確に私を押さえてきたから凄いぜ。反応出来なかったからな。

「guuuuu……!」

「くっ! 離れろ……よっ!」

――ゲシィッ!

 腹に一撃、蹴りをかます。噛み付きまで仕掛けてくるとは中々に獣だ。

 とりあえず振り解けたから良し。

「uuuuuu……」

「どうした? かかってこいよ!」

「ugaaaaaaa!」

 まだまだ足りない。Lの本能はまだまだ解放されきってはいない。

「そうだ! それでいい! 暴れようぜ!」

「gaaaaaaaa!」

 今はこうやって暴れる。それしかない。暴れて吐き出すしかない。

 ……悲しいが、な。


――


「ケッ、当たんねーよ」

「gaaaa!」


――――


「うはぁ! 今のは良い一撃だ!」

「uguruuuuu……」


――


――6時間後。

「はぁ、はぁ、流石に疲れるぜ……」

「u……ga、ヴ」

「お、ようやく来たか?」

「ヴア……ワ、ワタシ、ハ」

 6時間粘ってやっとだ。ようやく本能を喰えてきたらしい。

「はぁ、どんな味だ? 自分の本能はさ?」

「ワ、ワカラ、ナイ。ダガ、ワルクナイ」

「はぁ、そうかい。なら全部喰え」

「ワカッタ……アァ、コレガ」

 良し、徐々に掴んできている。これならいけるだろ。

 と?

――ヒュン!

「! はは、いい蹴りだ!」

「アあ、タのシイ! ハジめてダ!」

「そうだろ? 本能を喰ったら楽しくなるだろ?」

――バシンッ!

 こっちも一撃かます!

「グぅ……イタい! ダけど」

「それもまた良いだろ? 楽しいだろ?」

「あア、まったくダ! タノしい!」

 本能に任せてるだけじゃ得られない快感。それこそが重要だ。

 本能を解放し、自ら喰らい、己が血肉とする……それで初めて得られるものがある。

 研究所の束縛からLを引き剥がし、本能を解放させ、戦い、そして本能を喰わせる。我ながら上手く行ったんじゃねぇかな。


「まだまだやろうぜ! これからが本番だろ?」

「あア!」


 私らの夜はこれからだ!





 

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