BATTLE4

「なぁ、Lよ」

「何だ……」

 応えるLに覇気はない。今だ。


――ズドンッ!!


「! かはっ! げぁゔっ!」

――ビチャァ……

 鳩尾に一発。Lの口から白い液体がブチ撒けられる。コイツの血は白らしい。

「不意打ちしてすまん。これしかなくてな」

「はぁ……はぁ……何故?」

「お前の体内のナノマシンを少しでも抜く為だ。んでお前はもうすぐ本能だけの状態になる。薬の自動摂取装置も遠隔で無効化したからな」

「え?」

「だから先に言っとく、開放された本能のままに私と戦え。それから本能を喰って自分のモノにしろ。その後だ、私を超えたかどうかを決める戦いは」

「……」

「本能を、奪われた本能を取り戻せ。今はお前の戦いだ、本能を取り戻す為のな。それに私が協力してやるよ」

「何故だ、何故そんな事を」

「決まってるだろ、のお前と戦いたいからだ。お前の為じゃねぇ、私の勝手だからな。それに……」

「それに?」

「お前の失敗作、いやアイツらは紛れもなく化物だったな、それが浮かばれるかどうかにも関わってくるぞ? お前が本能を取り戻せるかどうかは」

「! まさか失敗作達と他に何かを!?」

「さあな、お前が本能を喰えたら教えてやるよ。だからかかってこい」

 そう言った瞬間、Lの様子がおかしくなり始めた。ああ、そろそろか。


「くっ……! うぐあっ! 頭がっ、ああっ!! はあっ、あっぐっあ!」


 苦しそうだ。そうだろうな。抑えられた本能の濁流が押し寄せてんだからな。

 こればっかりは助け舟も出せん。頑張れとしか言えん。


「はっ、はっ、ああううう! ぐるあっ!」

――また白い液体をブチ撒ける。

 畜生、なんでこんなの見なきゃならねぇんだ。やっぱ不憫、だな。

 そして……


「はあっ、はあっ、ああ……」


 20分程してLは一応落ち着いた。

 多分アレが出る。


「おねえさん、またあったね。あのときはごめんなさい。とりみだしたりして」

「なーに良いってことさ。それよりお前はどれくらい持つ?」

「あんまりながくはもたないかな。だからおねがい、Lのほんのう、うけとめてあげて……」

「ああ。分かってる」


 Lに現れた幼い存在。これはLが無意識に作り出した自己防衛としての機能らしい。そしてこれは長持ちしない。


「ごめんね……じゃあ、おねがい」


 彼女が目を閉じた。それから……


「……Gruaaaaaaaaaaaaa!」


 雄叫び。およそ彼女の見た目からは想像出来ない雄叫び。

 それが響き渡る。ああ、これが本能、か。


――その瞬間……

「Grugaaaa!」

 不意に繰り出される拳の重撃。当たれば凄まじいダメージであろう一撃。

 それが放たれた。

 避ける。その余裕はある。


 まだ続く筈だ。


 

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