laboratory

get up

Calling13 拘束

 ん、ここはどこだ? うーん口が開かんし何が起きてるかさっぱりだ。五感を全部奪われてふんわり無重力って感じ。

 ……と? 聴覚戻ったのか男の声が聞こえてきた。

「やぁ組織『■■■』のK。一度会ってみたかった」

「……」

「ああ、そうか。口が開かないんだったね。はい、取ったよ」

――パシュッ

「ふぅ……はぁあ、柔らかいベッド用意しろとは言ったが無重力を出してくれるたぁサービスいいね」

「そんな事を言うのは君が初めてだ。この装置入っているとその内に感覚が麻痺してきて自我も失くなっていくものなのだが」

「ふーん、ならドクトルかデベロッパーに設計し直して貰うんだな。これじゃ弱いぜ」

「強気な部分は何も変わらずか」

 この男、なんかウザさあるな。回りくどいっていうかなんつーか。ああ、もうめんどくせぇ。

「んで、私に何の用だよ。あんな大掛かりな事までして私の情報が欲しいかね?」

「当然! 君は完成された唯一の生体兵器! ある意味憧れの的さ! そんな君が今目の前に居る、それだけでも十分だが我々は更なる高みを目指しているのでね。君と我々の作った『L』で戦って貰う、そうすれば我々は君を超えられたかどうかを証明できる!」

 はー、ウキウキと何を抜かしとるんだこの男は。

「まぁ私を超えたとか言われてるんだろ? あの『L』ってのは。言われなくても戦ってるってのになんでこんなダルいことするかなぁ」

「そりゃあもう間近でデータが欲しかったからさ。あの城でも十分近かったが面倒な事に『取巻き』がいたからね。無力化する様にLへ命令したんだが君が自らやっ……「取り消せ! このクソ野郎!」

――バリィィィン! ゴシャッ! ガッ!

 装置を内側から無理矢理ブッ壊し男へ馬乗りになって金属片を喉に押し当てる。ふざけるなよ。

「ヴェインの事を『取巻き』とか抜かしやがったな!? ブッ殺すぞ人間! 三秒以内に……」

「わ、悪かった! 取り消す、取り消すよ!」

 クソッタレが。お前らにはただでさえ苛ついてんだよ。瞬殺しないだけ有り難いと思えや。

「ふん、まぁ今回のは許してやる。だが気が変わった。戦って欲しけりゃモノの頼み方ってのがある筈だ、そうだろ? 『Please』言いやがれこのクソ野郎。それから色々用意しろ」

 こいつの言い草からして私が潜り込んだ所の事については何も気にしてないんだろう。……腹が立つな。

「分かった分かった! やはり君は客として正式に迎えるべきだった。すまない……」

「分かったんならさっさとビール持ってこい。話はそれからだ」

「すぐに部下へ連絡を……部屋も用意するよ」

「何でもいいからさっさとしてくれ」


 あーあ、面倒な事になっちまったなぁ。

 ああ、そうだ。落ち着いたら連絡しねぇとな。


「おい、あれから何日経った?」

「い、一週間くらいだよ」


 おいおいマジかよ。こりゃカイトが心配だ。

 

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